頚肩腕症侯群の原因は動かないこと!肩こり症状から解消法まで
「肩こりで病院に行ったら頸肩腕症侯群だと診断された」
こんな難しそうな病名を医師から告げられるとドキッとしますね。
しかし、漢字だらけの病名の難しさと違って一般的な肩こりのときによくつけられる病名でたいしたことないって知ればどうでしょうか?
一気に不安だった気持ちが解消されていきます。
ただ、そう言われても
「本当にただの肩こりと同じ意味なんですか?」
と不安がまだ解消されない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回は『頸肩腕症侯群』について、その特徴や病態を知っていただいて安心していただければと思います。
首・肩・腕に何かしら問題が起こっている病
『頚肩腕症侯群』は、
『頚部から肩、上肢、背部にかけての疼痛や異常感覚(しびれ感など)を呈する症侯群』
という定義がされてます。
これをどの範囲でみるかですが、
広いくくり(広義)として、
- 一般的な『肩こり・首こり』
- 『頚椎椎間板ヘルニア』
- 『頚椎椎間関節』
- 『変形性頚椎症』
など頚・肩・腕まわりに症状がある疾患すべてが入ります。
狭いくくり(狭いくくり)として、
画像診断・検査などで原因(正常と違うもの)が特定できる『頚椎椎間板ヘルニア』など、
ちゃんと疾患名がついたものは含みません。
いろいろ検査しても、はっきりした疾患名のどれにもあてはめることができない症状を訴える場合を『頚肩腕症侯群』としています。
この意味合いでつけられることが多い『頚肩腕症侯群』について続いて解説していきます。
頚肩腕症侯群はパソコン・スマホで起こってくる
『頚肩腕症侯群』は、 長時間のデスクワーク・OA病・パソコン症侯群(モニターの注視やキーボード操作など)などで起こることが多いと言われています。
それらにみられる特徴には、
- 腕が同じことばかり繰り返しおこなう
- 肘を机などから浮かせた状態で作業する
- 頚・肩まわりの動きが少ない
- 特定の部分だけがよく動き、負担をかける
などがその症状の原因になっている可能性が高いと言われています。
これまさしく『パソコン作業』にピッタリ当てはまります。
身体をたくさん動かしていると身体に負担がかかるのは簡単にイメージできると思いますが、 実はじっとしているほうが動かしている以上に負担になります。
なかなかイメージしづらいかもしれませんが、
- 学校の朝礼でずっと立ちっぱなしだったり
- 法事などで正座でずっと座りっぱなしだったり
したときを思い出せばちょっとした時間なのにすごくつらいのがわかっていただけると思います。
事務作業で手を浮かせ続けることも、頭を同じ位置にじっとさせておくことも身体にとっては相当大きい負担になっています。
「Monthly Book Orthopaedics 2010年3月 肩甲帯部痛の診療 頚肩腕症候群」より
上の図は、肩の位置によって肩を動かす『棘上筋』という筋肉にかかる負担がどう違うかを示しています。
これをみると、腕を挙げるのが前でも横でも30°以上挙げた時点で血流に問題が出ている(肩に負担がかかっている)ことがわかります。
事務作業とかでは、これくらい肩を挙げた状態でずっといますから肩にはものすごい負担が長い時間かかってしまうんですね。
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頚肩腕症侯群で出る症状は主に肩こり
『頚肩腕症侯群』の症状は
肩・首・背中・腕まわりの
- こりや痛み
- しびれ・脱力・冷感
- 感覚障害や運動障害
自律神経症状としては、
- 頭痛・項部(うなじまわり)痛・後頭部痛
- めまい・立ちくらみ・耳鳴り
- 眼精疲労・咽喉部(のどまわり)違和感
- 夜間の手指のしびれ
などがあります。
「起こりそうな症状が全部そろっているんじゃないの?」
っていうくらいたくさんの症状です。
実際には、肩こり症状だけが出ていることがほとんどです。
頚肩腕症侯群の治療は対症療法が基本
原因が特定されてない首・肩・腕の症状をここに全部詰め込みました!と言っても過言でない『頚肩腕症候群』ですが、その一般的な治療としては、
- 理学療法(物理療法・運動療法)
物理療法としては、一般的な整形外科や整骨院などでされるような
・温熱療法
・頸椎牽引
・マッサージ
・運動療法( ストレッチ 体操) - 薬物療法
非ステロイド性消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、抗不安薬 注射 - トリガーポイント注射
星状神経節ブロック注射 - 姿勢・寝具(枕・布団)
作業環境(机・椅子・PCなど)
休息指導
などがおこなわれます。
これらをみてみると、『頚肩腕症侯群』だからこの治療をするというような特別なものはなさそうです。
原因がはっきりしていませんので、対処方法も当たり障りがないものになってしまいます。
では、そのはっきりしない『頸肩腕症侯群』のお悩み解消はどうしていけばいいのでしょうか?
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病名は気にせずどう症状を楽にしていくかがポイント
ここで、まず最初にするべきことは症状の強さを確認します。
「とにかく今の症状をひと時だけでもいいから楽にしてほしい」
と思ってしまうくらい症状が強く、日常生活に支障があるという方は、
- 物理療法
(温熱療法、頸椎牽引、マッサージなど) - 経皮的消炎鎮痛薬
(いわゆる湿布) - 投薬治療
(非ステロイド性消炎鎮痛薬、筋弛緩薬(抗不安薬は除く)など) - 注射
(トリガーポイント注射、星状神経節ブロック注射)
の順にいわゆる『対症療法』を受けてもいいでしょう。
ただし、それは痛みを和らげる応急処置をしているだけであって、
根本的な解決法ではないことを再確認しておきましょう!
というのも、
「湿布を毎日貼っているけど治らない」
「毎週のように注射をしているけど、2~3日は痛みがなくなるけど再発する」
「リハビリに毎日通っているけど、楽なのはその場だけ」
など、このようなことをよく言われますが、これらの治療があくまでもその場の症状を和らげる目的であるのでそうなって当然なのです。
では、『頸肩腕症侯群』を根本から治すにはどうしたらいいかをみていきます。
根本的な生活や肩首にかかる負担を見直すこと
あれこれ『対症療法』をしていることで症状が軽快していくことは十分に考えられます。
ただ、
「なるべく早く」
「症状が治まって再発しないように」
「確実に治したい」
と思われる方には、以下のような
ごく当たり前なことに見えるかもしれないけど根本から解決できる方法
をご紹介します
- 身体に負担がかかっている日常生活を見直すテレビを3時間ずっと座って見ている、寝転びながらテレビを見ている、ソファにずっと座る生活など
こちらを参考にしてください
「悪習慣に潜む肩こりの原因!自分でチェックする生活見直しのポイント」 - そもそもの姿勢が悪い猫背などの不良姿勢では「生きて生活しているだけ」で肩・首・腕に負担をかけ続けます
「猫背・背中の痛みの直し方!アッパーバックエクステンションを解説」
「なで肩にはストレッチはNG?根本的な治し方を原因から探る!!」
「なで肩の体操や筋トレによる正しい治し方!肩こりも一緒に解消!」 - 運動習慣がない
現代人は慢性運動不足です。
「毎日家事をしている」という方も家電の助けがあるため、割かれる時間が多いのは確かで大変なのですが思ったよりも運動になっていません!
内容はともかくとしてとにかく身体を動かしましょう!
「肩こり解消法を正しく実践!一人でできる簡単肩こり体操!」
「首こり解消にストレッチは逆効果!正しい解消法を紹介」
「肩こりをオフィスで解消する簡単方法は手や腕のストレッチ!」 - 寝具・椅子・机・鞄など身の回りのものを考え直す身の回りのものが自分にあっているかどうかを判断するのは難しいことです。
ここでは、一定時間使うだけで症状が出るようなものは身体にあっていない可能性が高いと思って考え直しましょう。
こちらを参考にしてください
「体のゆがみの原因はカバンのかけ方!正しい方法はこれ!」
「肩こりの原因になるカバンのかけ方!自分にあったかけ方を選ぼう」
これらは、当たり前ですが根本から『頚肩腕症候群』を治すためには必要なことなのです。
本気で『頚肩腕症侯群』による症状を解消したいとお考えの方は挑戦してみてください!!
まとめ
『頚肩腕症侯群』の病態からセルフケア方法までご紹介させていただきました。
これで、不安なくご自身の病態と向き合っていけるのではないでしょうか?
他にも、似たような症状であっても診断名の違う病名(疾患名)を病院で言われることがあります。
それらについて知ることでご自身の病態への理解を深めることに繋がります。
是非ともこちらをご覧ください
また、
「肩こり・首こりについてのいろいろな情報を知りたい!」
「肩こりについて1からちゃんと理解しながら解消していきたい」
と思われた方は、
「肩こり・首こりを徹底攻略!自分で解消するための必要な情報まとめて公開!」
をご覧ください!
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