『肩関節周囲炎』の経過を知って効果的な治療・リハビリをしよう!
肩関節周囲炎の経過
『肩関節周囲炎』は、
発症後だいたい1年くらいを目安に自然に経過がよくなっていくと言われています。
かなり長丁場だということに変わりありません。
焦らずじっくりと向き合って、コツコツと時期に合わせて自分のできることをこなしていきましょう!
そして、期間の短縮を目指しましょう!
では、その経過を順番にみていきます。
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1、疼痛性痙縮期(急性炎症期)
最初の方は、炎症による
- 『痛み』
・じっといていても痛い(安静時痛)
・疼いて寝られない(夜間痛)
・動かしたときに伴う痛み(運動時痛)
などがあり、痛みの質は1か所に激痛が出ます。
「ここ!!」
って指で指し示せるようなピンポイントの激痛の方が多いです(one finger sign)
- 『運動制限』
動かすことに伴う痛みが強いため広い範囲を動かせない(疼痛性運動制限)
です。
この時期は、とにかく患部(肩・腕)は『安静』にすることが1番です。
無理に動かすと、『痛み』がきつくなって眠れなくなってしまう方も多いです。
「じっとなんかしていられない!動かさないと生活(仕事・家事)できない!」
とよく言われます。
「まったく動かさないで!」
なんてできるわけありませんし、それはよくわかります。
そうではなく、
『痛みがある動作はなるべく避けるように心がけていただきたい』
ってことです。
そのため、寝るときの体勢にも配慮が必要です。
- 痛い側の肩を下にして寝るのはまぁできませんからしないと思います。
- 上に向いて寝るときは、肩が宙に浮いているのは痛いので、
隙間にバスタオルやクッションを挟んでおくと痛みはましになります。
目安の期間は1か月~程度をみておかれるとよいと思われます。
2、移行期
あくまで移行期なので何かのスイッチが『ON』から『OFF』に切り替わるような感覚で症状に変化が出ることはありません。
『痛み』については、
- 痛いのは痛いけど、『寝るときの痛み(夜間痛)』が減ってきたから寝ているときに痛みで目が覚めなくなった
- 痛みを感じる範囲がぼんやりと手のひらで示せる範囲になってくる(palm sign)
このとき、痛みは案外肩まわりではなくて腕のあたりを痛いとつかんでいる人が多いです。
- 動かせる範囲が少しずつ広がってきて動きに伴う痛みもましになった
というような変化が少しずつ出てきます。
『運動制限』については、
動かせる範囲がだいたい60°~90°くらいの範囲になってくる頃でしょうね。
このころから少しずつ運動療法を開始していきます。
まずは、肩甲骨の動きを確保していくようにします。
ショルダーシュラッグ(肩すくめ)
- 両肩をまっすぐ上に挙げます。
肩が耳に近づくように
「これでもかっ!」
って勢いで挙げなくて構いません。
優しくゆっくりまっすぐ上に肩をすくめましょう! - 挙げたら5秒そのポーズを保ってゆっくり下ろします。
これが移行期あたりから痛みを伴わずにできてきます。
『痛み』を絶対の基準に無理せず導入していきましょう!
そこから、少しずつ肩の動きを誘導する運動療法を取り入れていっていただければと思いますが、あくまでも
『痛みがない範囲か、あっても軽い違和感程度まで』
に必ずしましょう!
病院で指導される肩の運動療法について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ!
「五十肩の肩の痛みに病院のリハビリで指導される運動療法まとめ!」
目安の期間は2、3か月~程度をみておかれるとよいでしょう。 スポンサーリンク
3、拘縮期(凍結期)
この時期になってくると、『痛み』に関して 最初の方は、炎症による
- じっといていても痛い(安静時痛)
- 疼いて寝られない(夜間痛)
- 動かしたときに伴う痛み(運動時痛)
がなくなってきます。
- たまに捻った動きとかのときに『キュッ』と痛む
- 動きは悪いままだがそれを無理にそれ以上の範囲で動かそうとすると痛む
などという『痛み』の出方になってきます。
肩が『冷凍庫』で凍らせたかのようにカチンコチンに固まってしまいます。
そのため、
『凍結肩(frozen shoulder)』
と言うんですね。
この時期になれば、『痛み』よりも
- 高いところのものを取れない
- 髪の毛を洗うときに頭に手が届かない
- 髪をセットするときに苦労する
- 服の脱ぎ着がしにくい
- 背中を掻きたいとき手が届かない
- ブラジャーを背中に手にまわして着けられない
などの『運動制限』による不便が辛いとおっしゃられます。
そこで、この凍り固まった肩を溶かすようにほぐしてやろうと躍起に運動をする方が増えます。
しかし、ここでも『移行期』のときから始めた肩甲骨からのアプローチをしておき、肩の動きは
『痛みが伴わない、もしくはあっても強くない範囲』
で優しく優しくしていきましょう!
『ガンガンきついのをたまに』
するのではなく
『痛くない範囲から少しずつ加減を見ながらコツコツ』
やっていくのが大切です。
目安の期間は6か月~程度をみておかれるとよいでしょう
4、終息期(解凍期)
この時期になれば、『痛み』を感じることは少なくなっていきます。
『運動制限』も徐々に改善されていきます。
日常生活での不便については
「だいたいのことができるようになってきたけど、背中の方に手が回らないのだけ残っている」
と言う方が多くなります。
この後ろに手を持っていく動作が1番最後まで『拘縮』が残りやすい動きになります。
動きがだいたいどういう順番でとれていくのか詳しく知っておきたいと思われた方はこちらをご覧ください
「四十肩(五十肩)とは?原因や症状など基本から治る過程や期間まで」
このような経過をたどられる方が多いので、ここで焦ってはいけません。
「自分の『肩関節拘縮』も最後らへんにきているんだ」
と思ってじっくり取り組んでいただければと思います。
ここで、最後に気を付けておいていただきたいのが、
『気づかない拘縮』
についてです。
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運動療法はいつ終わる?
この時期の方は
「腕はほんとによく挙がるようになりました!
日常生活の不便もなくなったしもう運動療法は終了して構いませんよね?」
と言われてみてみると、
『運動制限』がまだ残っているんです。
両肩同じように運動していると誤解している人がたくさんいらしゃいます。
「両手頭の方まで挙げられるようになってるし」
「いやいや、なってませんよ、ちょっと鏡見ながらやってみてくだい」
なんて会話はよくあります。
『運動療法』の終了のタイミングは、この『気づかない拘縮』がとれるまでされることをお勧めします。
しっかり鏡をみてチェックしてみてください。
目安の期間は、10か月~程度をみておかれるとよいでしょう!
おわりに
『肩関節周囲炎』は、
- 痛み(疼痛)
- 運動制限(可動域制限)
が問題になります。
しかも年単位でかかる人も多いため、気の遠くなる思いがすることでしょう。
そこで、焦って痛いのを無理やりして『痛み』がぶり返す人がいます。
これはせっかくの気持ちがあるのに、やっていることは逆効果という1番避けたいことです。
そうならないためには
『痛みを敵とみなして無理に戦おうとしない』
ことです。
『痛み』は身体が
「まだそこは無理にしないでくれたほうがいいなぁ」
と教えてくれています。
自分が痛くない範囲でコツコツやっていくことで十分効果が出てきます。
焦らす身体のサインに逆らわずじっくり取り組んでいってください。
「身体の筋肉バランスを整えることで負担をかけずにケアしたい」
と思われた方はこちらをご覧いただいて実践してみてください。
「五十肩の治療は、痛くない安全な「ネストラ式」簡単体操で効果的に改善!」
他の『肩の疾患』についても知っておきたいと思われた方はこちらをご覧ください!
「「肩・腕が痛い!」とき、知って安心の『肩の疾患』をまとめて紹介!」
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朝から急に左の肩から肩甲骨迄が痛くて首を回せない、長く治らないのでしょうか、不安です いつも重いカバンをかけて肩凝りがひどい
当サイトをご覧いただきありがとうございます
書かれているのを読む限りでは肩関節の問題というより、肩こり・首こりか寝違えなどを疑ってそちらの改善について対処していかれることをおすすめいたします。
もう半年、左肩の痛みから腕にかけて、夜間痛、運動制限など続いております。三か月前から整骨院に通って
いますが、なかなか治らず悩んでおりました。
今回、このサイトで自分の症状ピッタリでしたし。
いずれは治るんだと安心しました。