寝起きや立ち上がりで踵の足裏側が痛い!『足底腱膜(筋膜)炎』とは
「朝の寝起きの第1歩が踵が痛くて足がつけない・・少し我慢して歩くと痛みは徐々に治まるんだけど・・」
という寝起きの少しの時間にだけ、足を床に着くと足裏に激痛がでる方がいらっしゃいます。
寝起きの方が多いですが、ずっと椅子に座ってから立ち上がる1歩目でも同じように痛みが出たりします。
また、
「歩いていると足裏の踵のあたりが痛くて仕事で歩けなくて困っている!」
と、足裏の踵付近の『痛み』で長時間歩けなくて困る方もたくさんいらっしゃいます。
このような『痛み』があったら『足底筋膜(腱膜)炎』 をまずは疑ってみられるといいでしょう。
足底筋膜(腱膜)炎は、ちょっとやっかいなところがあって
- 生活動作で『痛い』ため、歩くというごく当たり前のことが辛くなってしまいます
- 病院に行ってもたいした処置をしてもらえないことが多い
など、痛くても歩くことを休むことはできませんし、かといって処置もなくただ我慢するしかないことでお悩みの方がたくさんいらっしゃいます。
「安静しかできることはないの?っていうか安静なんてしてたら生活できないし・・」
「少しでも楽にできる方法って何もないの?」
と思われた方にまずは足底筋膜(腱膜)炎について知ってそんな不安を解消してください!
病態を知ることから自分でできることをたくさん見つけていただけることでしょう。
今回は、『足底筋膜(腱膜)炎』の
- 原因や症状などの『病態』
- 検査や治療などの『対処』
をテーマに紹介していきたいと思います。
もし、実際におこなう『治療やセルフケア』が知りたいと思われた方はこちらをお読みください。
「早く楽になりたい足底腱膜炎の踵の痛み!自分でできる治療や処置とは」
足底筋膜(腱膜)炎とは
足裏には、 『足底腱膜』 という 足底の筋肉を覆う腱膜があります。
「足底腱膜?筋膜?両方名前を耳にするけどどっちが正しいの?」
って思われるかもしれませんが、正直どちらでも意味は同じで通じます。
実際にははっきりした区別はなくて
- 足底筋膜(こちらが多数派)
足裏の筋肉群にある筋膜全体を『足底筋膜』と言い一般の方には知られている名称になります。 - 足底腱膜(こちらが少数派)
足裏全体にある『足底筋膜』の中でも、主に炎症を起こして症状を出している中央部分を『足底腱膜』と言います。
医療従事者は足底腱膜炎と呼ぶことが多いです。
という使い分けがあるようです。
ちなみに英語では、
- planter aponeurosis
- planter fasciitis
があってどちらも日本語に訳すと『足底腱膜炎』になることをあわせて総合的に考えると、『足底腱膜炎』が確かなようです。
そこで、ここからは『足底腱膜』をメインに表記して書いていきます。
足底腱膜は、
- 踵の裏のやや内側から
- 足裏を通って足の指(趾)の付け根(足が疲れている人は、ここを足つぼマッサージとかでグリグリされるとめちゃくちゃ痛いんです)
に負担がかかって炎症が起こることで、使うたびに痛みがでるのを 『足底腱膜(筋膜)炎』 と言います。
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足底腱膜(筋膜)の働き① クッション作用
『足底腱膜(筋膜)』のことを深く知るために、足の構造について少し考えていきましょう!
足の骨は、
- 山口の錦帯橋(きんたいきょう)
- 長崎のめがね橋
のような山なりの骨組みでできていて、両端を伸縮のする足底腱膜でつないでいるような造りになっています。
足の骨とこれらの橋を実際重ねてみますと、確かに橋と足の骨とが重なって構造的に似たようになっているのがわかりますね。
山なりの『アーチ構造』にする利点は平らな橋よりも
- 圧迫する力がまんべんなくかかる
平らだとたわみが生じてしまい、圧迫する力や引き離す力がばらばらに生まれて部分部分に違う負担がかかる - 剛性が高い
しなり(曲がり)が発生しにくく、構造的に強い状態になれる - 水平反力になる
上から下にかかる重さを全体で受け止め横向きの力に変えること(水平反力)にする。
その衝撃が両端を弓のように引っ張って弾力のある足底腱膜がつなぐ(タイドアーチ)ことで、スプリングのような衝撃吸収作用が起こります。
この構造によって、橋と同様に足にかかる衝撃にしっかり耐えながらもクッション作用で衝撃吸収ができるようになっているのです。
足底腱膜(筋膜)の働き② バネ作用
足底腱膜炎になった人は、間違いなく歩くのが辛いありません。
「抜き足、差し足、忍び足~」
みたいつま先立ちで歩く分には痛くなかったりします。
歩くときの地面にペチャっと着いた足が踵から離れる瞬間に 「痛っ!!」 ってなることがわかります。
この瞬間に足底腱膜が働いて歩くのをサポートしているんだろうと推測できます。
このとき足は、 『ウィンドラス機構』 という働きをしていて、中心的役割を担っているのが足底腱膜です。
この『ウインドラス機構』の働きについてみてみましょう!
ウインドラス機構(巻き上げ現象)とは
『ウィンドラス機構(windlass mechanism)』とは、 日本語で『巻き上げ現象』 と言います。
歩くとき踵が浮いていく状態になると、足の指(趾)が反っていき(MTP関節 伸展)、足底腱膜がピンと引っ張られて足のアーチ(橋)がギュッと締め付けられます。
足指を反らせてみると、『足底腱膜(筋膜)』がピーンと張ってくるのがおわかりいただけると思います。
ギュッと締め付けて固まるおかげで、踵がどんどん浮いていくにしたがい体重のかかり方が違ったりする中でも
- 足を構造的安定にする(剛性が高い)
- 足底アーチが崩れない
で、安定した足の動きを作ることができ
- 不必要なアーチのしなり、たわみ
がおきないため、アーチにかかる上下の力を横の力に変換して、蹴り足の力を逃がさないで伝えることができます。(足底腱膜のバネ作用)
また『ウィンドラス機構』は着地時には『足底腱膜』をよりピン!と張って
- 着地時の安定性
- アーチ下降の抑制
をする働きをもっています。
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足底腱膜(筋膜)とアキレス腱の関係
「つま先立ちしていたら足底腱膜炎でもあまり痛みがでない」
とさきほどお伝えしましたが、『つま先立ち』をすることが足底腱膜(筋膜)の負担を減らすには、もうひとつ『アキレス腱』との関係があり治療に関係することなので知っていただればと思います。
- 足底腱膜(筋膜)
→踵と足の指(趾)をつなぐ筋膜 - アキレス腱
→踵とふくらはぎの筋肉をつなぐ腱
です。
この2つは、踵を挟んで両端に正反対に付いていることで、お互いの『緊張や長さ』の変化に強い影響を及ぼしあいます。
それは、『シーソー』のような関係で 足底腱膜が
- 短くなる→アキレス腱が長くなる
- 長くなる→アキレス腱が短くなる
ように関係しているイメージです。
そこで、先ほどの歩いて踵が離れる状況をそれぞれについて考えてみると
- 足底腱膜(筋膜)
→足の指(趾)が反っていくので長さが長くなり緊張が高まっていく - アキレス腱
→足首が曲がった(背屈)状態で長さが長くなり緊張が高まっていく
と両方が緊張が高まっている状態ですがこのとき、 『アキレス腱を含めたふくらはぎ』 に柔軟性があれば、うまく筋肉を伸ばしていくことができて、足底腱膜に与える影響も少なくなりますが逆に『ふくらはぎが硬い』と足底腱膜の負担になってしまいます。
『ふくらはぎ』の仕事が悪いので、そのツケを『足底腱膜(筋膜)』が肩代わりさせられているわけです。
足底腱膜炎が起こる原因と 『アキレス腱を含めたふくらはぎ』の状態は密接なのがわかります。
ここまでで、『足底腱膜(筋膜)』の役割やアキレス腱との関係など、病態を把握する上で重要な足まわりのつくりについて紹介してきました。
後半は、『足底腱膜(筋膜)炎』の
- 起こる原因
- 病院での検査・診断
などについて紹介していきます。
お身体に関するお悩み解消にお役に立てる情報が提供できていますと幸いです。
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と思われた方は、こちらで直接診せていただくこともできます。
お問合せお待ちしております
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