手首の親指側が痛い!手の使い過ぎによる腱鞘炎『ドケルバン病』とは

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ドケルバンアイキャッチ「ものを持ったりつかんだりするときに手首の親指側が痛い!」

「病院でドケルバン病と診断されて湿布を出されただけだけど大丈夫なの?」

という方、  つかむ・握るなど日常生活の当たり前のことをした瞬間に痛みが起こるやっかいなものに『ドケルバン病』があります。

最近は、パソコンや携帯など指をたくさん使うことが増えていますので、どなたでもドケルバン病になる負担がかかりやすくなっています。

特にスマホを片手使いすると、親指ばかりがあちこちに動いてあからさまに負担をかけているのが想像できます。
スマホ

これが代表的なスマホを使うことによって起こる障害(スマホ病)のひとつです。きっかけがスマホだったとしてもいったん傷めてしまったら

「ビンのふたを開けることができない」

「ペンを握るのも痛い!」

瓶の蓋をあける

など、日常生活の何気ないことができなくて悩まされている方が増えています。

『ドケルバン病』の一番やっかいなところは

  • 仕事やスポーツ、日常生活の家事でさえも使わないわけにいかないため治りにくい
  • 治ったとしても再発する可能性が高い

いったんなると治すのが難しい病気だからこそ、何も知らないままだとどんどん悪化させてしまう可能性があります。

ドケルバン病がどんな疾患で、何をしたらよくて何をしてはいけないのか、など正しい知識を持っていただくことが治療には欠かせませんのでわかりやすく知っていただきたいことを紹介していきます。

 

ドケルバン病とは親指の筋肉の腱鞘炎

親指は他の4本の指に比べて複雑な動きができます。

それを可能にしているのは、

  • 親指独特の関節のつくり
  • 親指を動かすたくさんの筋肉

のおかげです。名前は覚えなくて結構なので筋肉をみてみましょう。

親指を動かす手の甲の方にある筋肉

  • 長母指伸筋
  • 短母指伸筋
  • 長母指外転筋
  • 短母指外転筋

親指を動かす手の平の方にある筋肉

  • 母指対立筋
  • 長母指屈筋
  • 短母指屈筋
  • 母指内転筋

名前をみればゾッとするややこしい名前の筋肉が並んでいます。これだけたくさんの筋肉の運動が複雑にからみあって親指の動きを作っていることを知っていただければと思います。

それだけ親指は精緻な動きができます。 その反面、たくさん使われることで問題が起きやすくなることにもつながります。

その筋肉の中でも
ドケルバン筋肉

  • 短母指伸筋(extensor pollicis brevis:EPB)
  • 長母指外転筋(abductor pollicis longus:APL)』

という筋肉に起きる腱鞘炎(けんしょうえん)を特別に 『ドケルバン病(de Quervain病)』 と言います。

病名だけ聞くと不安になるかもしれませんが、まずは腱鞘炎の仲間だと知っていただければいったんはその不安も和らぐかと思います。

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ホルモンバランスが変わる世代がかかりやすい

ドケルバン病は腱鞘炎のひとつのため、そのかかりやすい年齢層などもだいたい同じになって

  • 中高年(50歳以上)
    加齢によって、筋力の低下や骨粗しょう症など身体が構造的に弱くなり始める世代に、筋肉も今まで通りの負担を受け止められなくなってくるため
  • 妊娠中や出産後
    ホルモンバランスの変化や出産後の赤ちゃんを抱いていることで手が酷使されます。

 

利き腕だからなりやすいということはない

「使いすぎでおきる腱鞘炎だから、利き手に多いんですか?」

って思われるかもしれませんが、実は利き手が少しだけ割合は多いですが『左右あまり差がなく同じくらいの割合』でおこります。

その理由を考えてみると

  • 『利き手』の発症
         → 日ごろからよく使う量が多いことで負担がかかる
  • 利き手』と逆の手の発症
         → 日ごろはあまり使わないけど、使ったときには慣れていないのでひとつひとつの動きが『利き手』の何倍のもの筋力が必要になることで負担がかかる

などではないかと考えられます。

これは、使い過ぎであるイメージのある『四十肩(五十肩)』の場合には、利き手と逆側の肩がなりやすかったりすることもあって、一概に使い過ぎだけとも言えないと知っておいてください。

 

ドケルバン病かどうかを調べるための徒手検査法

ドケルバン病での症状は、

  • 腱を押さえると痛い(圧痛)
  • 親指を動かすと痛い(運動痛)
  • 筋肉を伸ばしたり(ストレッチ)筋力を発揮させたり(抵抗)すると痛い
  • 手首が腫れる、熱を持つなどの『炎症』症状が出る

などの症状があります。これ以外で『ドケルバン病』を簡単に調べる検査法がありますので紹介します。

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フィンケルシュタイン テスト(Finkelstein test)

  1. 検査者が親指を握ります
    フィンケルシュタインテスト1
  2. 勢いよく小指側に(写真でいう下の方に、もしくは尺屈)動かします
    フィンケルシュタインテスト2
  3. 手首の親指側に痛みが出たら陽性とします

このテストは、『短母指伸筋(EPB)』に、特にストレスをかけることができます。

アイヒホッフ テスト(Eichhoff test)

このテストは、フィンケルシュタインテストより治療家の間では有名な方法です。このテストを一般的には『フィンケルシュタインテスト』として教えられることが多く、その誤解が一般的になっています。

みなさんにとってはどちらの名前でも構いませんのでとりあえずやってみましょう。

  1. 親指を隠すように手のひらの中にして握り込みます
    アイヒホッフテスト1
    アイヒホッフテスト2
  2. 手首を小指側に動かします
    アイヒホッフテスト3
  3. 手首の親指側に痛みが出たら陽性とします

このテストは、 短母指伸筋(EPB) 長母指外転筋(APL) 両方にストレスをかけます。

こちらのテストの方が、『フィンケルシュタインテスト』より陽性率が高く『ドケルバン病』を調べるには良いでしょう!

 

腱鞘の炎症を病院の検査で調べるには

画像検査では、 『超音波』 『MRI』 などが特に役立つと言われています。

そうであっても実際には、手首が痛いと言われると兎にも角にも『レントゲン』を撮るというのが整形外科の不思議なところではあります。

超音波検査(エコー検査)は

エコー1

  • 低コストでその場で状態を確認できる
  • 腱鞘の腫れなどを見ることができる
  • 実際に指を動かしながら腱の動きを確認することができる

ことなどいいところが多いため、1番に行われるべき検査と言われています。他の腱鞘炎でも同じようにエコー検査は有用です。

 

ドケルバン病に対する治療方法は

治療は基本的に使うのを休めて炎症が鎮めば元通りになってくれるものなので手術をしない『保存療法』で経過をみていきます。

  • 親指の安静
    使いすぎで起きている腱鞘炎のため、親指を使わず休めることが1番大切です。
  • 装具療法
    親指の安静を自分ではできずつい使ってしまうという方には、装具を着けることで強制的に親指を使えないようにします。
    ・利き手だった場合は、よく使う手のよく使う指の動きが制限される。 
    ・もともと手をよく使う生活(仕事など)をされている方が多い ため、かなりの日常生活上の不便が伴います。
    そのため、処方されてもなかなか着けられないという方が多いのが課題です。
  • ステロイド注射
    『炎症』を鎮めるために、ステロイドの注射をします。
    ステロイドは、『魔法の薬』のようによく効くため、痛みがなくなったりかなり楽になったりします。
    この効果とは裏腹に何回もすると腱自体が弱くなってしまうなどの副作用があります。
    もし『ステロイド注射』をしてもその後、親指を休めるための1,2の対処はかならず同時に行う必要があります。
  • 手術療法
    まずは保存療法を行いますが 
    ・長い間症状が改善されない(3ヶ月以上くらいを目安にします) 
    ・仕事などの都合上、『保存療法』をしている時間の余裕がない 場合など
    には、『手術療法』が選ばれます。

 

おわりに

『ドケルバン病』と言われると、なんかすごく大変な病気にかかった気がするかもしれませんが、その実態は『腱鞘炎』です。

まずは、病名のおどろおどろしさに惑わされず、『腱鞘炎』に対する対処を適切におこなうことが大切です。

とはいっても、治りにくいので起こっている状態をしっかり理解してコツコツと治療していくことをお勧めします。

「親指のの負担を少しでも減らして早く治したい!」と思われる方は、自分でできるテーピングの方法を紹介しておりますのでご覧ください

手や親指の使い過ぎや腱鞘炎の痛みに自分で簡単にできるテーピング!

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10 Responses to “手首の親指側が痛い!手の使い過ぎによる腱鞘炎『ドケルバン病』とは”

  1. 佐伯常枝 より:

    色々と有難うございます。  先日来より右手の中指が曲がら無い、親指の付け根当りが腫れて、手全体の甲が腫れて来る。少し良く成ったと思ったら左手の中指が曲がら無い迄は行かないものの曲げると痛い、両手首が少し腫れて痛む。  そんな状態が繰り返されていますが、此のままで良いのでしょうか?  実は昨年の2月に圧迫骨折をして病院に掛かっていますが、今、月1度骨を強くする為に注射の為に病院へ行っています。が此の事と関係が有るのでしょうか?

    • tomokazu より:

      以前投稿いただいてからも症状が続いておられるようですね。

      圧迫骨折をされたそうですが、それと手の周りの症状とはあまり関連はないと思われます。

      そして、両手に症状が続いているとのことなので、手の関節炎や腱鞘炎・変形性関節症など考えられますが、関節リウマチの可能性もあります。
      1か月に1度病院に行かれているのであれば、その症状についても精査されてはいかがでしょうか?

  2. 當間 より:

    色々拝見させて頂いております、有難うございます。
    左腕の肘外側の痛みと左手親指の痛みに悩んでおります。
    テニスもゴルフも行っておりませんが、
    主婦のため休めないのも確かです。
    パートでは毎日5時間パソソンに向かっています。

    市販の湿布を使用したり、熱を持っていると感じる時には少し冷やしたりとしていますが、なかなか回復しない状況です。

    どのような対応が望ましいでしょうか。

    • tomokazu より:

      当サイトをご覧いただきありがとうございます

      できるものから順番に挙げますと、
      1、とにかく安静、無理をされないこと
      2、湿布やアイシングなどを行うこと
      3、テーピング・サポーター・エクササイズなどで対処すること
      4、パソコン環境(机・椅子の高さやパソコンの位置)の変更など
      5、病院で注射
      ではないかと考えます。

      今の時点では2まではされているとのことなので、3の対処をされるべきかと考えます。
      http://ne-stra.jp/4947.html
      こちらの体操を参考にしてください。

      病院では、症状に応じて麻酔やステロイド注射をしてくれるかと考えられます。
      これについては当サイトの記事を参考くださいませ

  3. lemon より:

    4ヶ月ほど前から右手首の親指側が痛みます。手を突くことはもちろん、前後に手を動かしたり振ったり捻ったり回したり…痛みます。
    色々調べて見て、親指でスマホを使っているので腱鞘炎かな?とも思うのですが、スマホを使っている時は痛くありません。
    湿布やテーピングを貼ったりしているのですが、アルバイトをしている時は貼ることができず重いものを持ったりと痛くて辛いです。
    長い期間痛みが変わらないので悩んでいます。
    良い解決方法があれば教えていただきたいです。

    • tomokazu より:

      当サイトをご覧いただきありがとうございます

      やはり親指の負担を減らす配慮ができるのが第一です

      そして、自分でできるケアをこちらで紹介しておりますので参考にしてください

      http://ne-stra.jp/4947.html

  4. 太陽と月 より:

    3か月以上前に朝、起きたら左手首の親指側に激痛があり、ほっといたら勝手に治るだろうと思って、2週間くらいしたら、今度はテレビのリモコンさえ持てなくなるほどの激痛に変わりました。整形外科に行ったところ、親指を掌の中に入れて、「これ痛い?」と言われて、痛いところをぐっと押されて。レントゲンと血の検査をされました。
    しかし、私の話を全く聞かず、「注射打つかどうか決めて」と言われ、その上、「打ったから良くなるかどうかなんて結論から言って知らん!」と言われました。
    とりあえず、一週間後、血の検査も骨も以上なく、湿布を処方され、それっきりです。
    「これはなんですか?」と私が診察で聞くと、「使い過ぎ~。」と言われて、病名など一切言われませんでした。
    そして、ここ一週間前くらいから、おさまった痛みがまた再発してきて、ネットで調べたらここにたどりつきました。
    多分、私もドケルバン病だと思います。
    症状が完全に当てはまるからです。
    痛くなる数日前には、携帯ゲーム機で左親指をよく使っていましたが、35年生きてきて、今まで一度もこんなことはなかったです。
    これからどのように治療したらいいでしょうか?

    • 管理人 より:

      当サイトをご覧いただきありがとうございます

      太陽と月さんのおっしゃる感じだと、医師はドケルバン病と診断し注射をしたんでしょう。
      それにしても乱暴な医師ですね、昨今ではきちんと説明してくれるところが増えているのに残念なところにかかられたようですね。

      原因はやはり医師の言う通りでもある『使い過ぎ』で対処は基本的にはあまり使わない局所安静が原則です。

      他には、テーピングや腱鞘炎の筋肉の緊張をやわらげていく体操などがあります、こちらでそれらを紹介しておりますので参考にしてください。
      http://ne-stra.jp/4947.html
      http://ne-stra.jp/2555.html

      • 太陽と月 より:

        お返事ありがとうございます。あれから違う整形外科に行きましたところ、ドケルバン病だと診断されました。
        固定するか、最終手術かという話になり、今回は湿布だけもらいました。
        親切にドケルバン病のパンフレットもくれました。
        まだまだ痛いので、不安です。

        • 管理人 より:

          手術はほんとうの最終手段になりますし、ほとんどの方は局所安静やセルフケアなどで治療してなんとか改善へ導いていこうとされるものです。
          少しでもご自分ができる手にやさしいことを実践されていくことが基本であり正解となりますのでコツコツがんばってください。

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