足の付け根が痛いとき股関節にどんな問題があるのかまず自分で簡単に検査してみよう!

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「股関節まわりに違和感・痛みがあるけどなぜその痛みが出ているのか原因がよくわからない」

足の付け根まわり(股関節)が痛いと思ったとき、他の部が痛いときよりも原因がはっきりしないことが多いです。

それは、股関節まわりの有名な病名をみてみると

  • 股関節部痛 
    いわゆる股関節に痛みがあるけど、骨や軟骨・筋肉などに明らかな問題がみつからない
  • 鼡径部痛症候群 
    スポーツをしている人に多い股関節まわりの痛みで原因がはっきり特定されていないものの総称
  • 股関節インピンジメント症候群 
    股関節を動かす時に正常でない状態で組織が挟まってしまっていると推測されるもの
    これも画像検査で分からないことが多い

など病態がはっきりしない病名が多いところからも鑑別は非常に難しいのがみてとれますが、その中でも見極められる疾患もあって少しでも病態の可能性を絞り込んでおくと対処がしやすくなります。

股関節が痛いとなったときに病院などでされる徒手検査をしていただければと思いますが、これを読まれている方は誰かに手伝ってもらわないとできないような検査は不便だと考えます。

そこで、正規の手順では誰かにしてもらうものもなんとか自分ひとりでできるように多少アレンジをして簡単にチェックできるようにしたものを今回は紹介したいと思います。

※ 小児や子供に関わる検査は省き、おおよそ高校生以上の成長期以降を対象にした検査方法を紹介しています。 

 

股関節まわりの骨に問題が起こっているかどうかチェックする検査方法

まずは、骨折・疲労骨折などが起こっている可能性からチェックします。

骨に異常があれば、これらのテストが陽性になりますが、それ以外に体重をかけたり、歩くときに特に響くように痛いなど疑える症状が他に出てきますのであわせてチェックするとよいでしょう。

他には、その痛みのある部分の骨が触れる場所なら押さえてみて痛みがあるか確認することも大切です。 

  • PSS(positive standing sign)
    スポーツをしていることで恥骨疲労骨折を起こしたりしているケースでは、立った状態で靴下を履こうとするような動作をするとき痛みが出ます。
  • hopping test(≒アンヴィルテスト:Anvil test)
    その場で軽くジャンプをしてみると、着地の衝撃が足裏から股関節に伝わります。
    骨折や疲労骨折があればその衝撃によって痛みが起こります。
    できれば片脚でホップするまではチェックしてみるとよいでしょう。
  • ルドルフ徴候
    椅子に坐った状態で膝を持ち上げる動きをします。
    このとき、腸腰筋を使いますがその筋肉が付いている場所に骨折がある場合には痛みが出ます。

 

股関節の関節自体に何かしらの問題が起こっているかをチェックする検査方法

次に股関節を一定の方向に動かしてみて、痛みや運動制限が起こらないかをみる検査です。

この検査は陽性であれば関節自体や軟骨(または関節唇)に何かしらの問題があると思ってもよいと言われるくらい感度の高い検査です。 

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股関節インピンジメントテスト

股関節の骨同士がぶつかりやすい動きを作ってみて実際にぶつかって動きが悪かったり、そこで組織を挟み込んで痛みが出たりしないかをチェックする検査です。

基本的には、検査者の人にしてもらいますが自分でやってみてもある程度はわかります。

  1. 仰向けに寝て膝を直角に曲げた状態で股関節を90°曲げます。(屈曲)
  2. 膝を内側に入れながら(内転)足先が外側に移動するように動かします。(内旋)
  3. このとき、股関節に痛みがあるか、反対に比べて足先が外にいかない(運動制限)があるかを比べて確認します。

この動きはボンネットテスト(Bonnet test)と動きが似ていて、坐骨神経にストレスをかけることで電気が走ったような痛みがお尻や脚に出ることもあります。

  • 股関節に痛みがある
    →インピンジメント症候群の可能性が高い
  • 運動制限がある
    →インピンジメントの中でもFAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)の可能性が高い
  • お尻や脚の外側などに痛みがある
    →腰からの神経の問題がある可能性がある

とみることができます。 

FADIR

これは『ファディーレ』などと呼んだりすることもありますがこれは固有の名称ではありません。

実際には検査する動きの

  • Flexion→屈曲
  • Adduction→内転
  • Internal Rotation→内旋

の頭文字をとった省略語になります。

航空会社で言えば、

  • ANA:アナ→All Nippon Airways
  • JAL:ジャル→Japan Air Lines

みたいなのと同じでその名称自体に意味はないと知っておかれると覚えやすいかと思います。

これは先ほどのインピンジメントテストとほとんど同じになりますが、インピンジテストは90°に股関節を曲げておこなうものを指しますが、こちらは曲げる角度が違った状態で行うものも含めて検査するとよいでしょう。

それによって痛みが出る場合には、組織が挟み込んでいるインピンジメントの状態になっていると考えてよいでしょう。

こちらも似たような動きにKボンネットテスト(K.Bonnet test)があり、梨状筋症候群の場合にお尻から脚にかけて痛みがでることもあります。

同じような動きになりますので一緒にチェックしておいてもよいでしょう。 

パトリックテスト(patrik test)

次は、股関節に問題がある場合には膝が開かなくなるという状況になられる傾向が強いところから膝を開く動作をしたときに『股関節に痛みがあり反対に比べて開く範囲が狭い』場合には陽性として股関節に問題があると疑います。

左右で開き具合が大きく違う方もいらっしゃるかもしれませんが、この検査では開きに差があるだけでは股関節に問題があるとは判断できません。

また、この動きでお尻が痛いということもあります。

この場合は、仙腸関節の問題で痛みが出ているとみますので股関節とは問題が別だと判断しましょう。 

お尻が痛いと思われた方は、こちらをお読みいただいて仙腸関節付近もチェックしてみられるとよいでしょう。

仙腸関節性腰痛の診断には、画像診断よりも徒手検査(テスト)が重要!

 

股関節まわりの筋肉の問題があるかをチェックする検査方法

骨や関節についてチェックしてきましたので次は筋肉に問題がないかをみていくテストを行ってみましょう。 

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ヒブテスト(hibb test)

  1. うつぶせになって膝を直角に曲げて足を外側に開きます。
  2. このとき、お尻に痛みがありましたら仙腸関節に問題があると考えます。

基本は片脚ずつ行いますが、写真のように両脚同時に行っても大きな問題はありません。
ただし、このテストでは股関節の筋肉である閉鎖筋のストレッチテストにもなりますので、閉鎖筋が傷んでいたら同じように痛みが出ることを知っておきましょう。 

内転徒手抵抗テスト(Hip Adductor resistance test)

股関節には内転筋群があります。この筋肉に負荷をかけて痛みが出るかどうかをチェックします。

  1. 脚をひっかけられるもののそばで仰向けになって寝ます。
  2. 足を引っかけましたら、内側に足を閉じるように力を入れます。
  3. このとき、股関節に痛みがあれば内転筋が傷んでいる可能性があります。 

トーマス(Thomas test)

股関節の筋肉でも曲げる筋肉が硬くなっているかどうかをみるためのテストです。

  1. 仰向けに寝て片膝を抱え込んで手前に引き寄せます。
  2. このとき、反対の太ももが床から浮いてきたら、その伸ばしている側の股関節の曲げる筋肉群が硬くなってしまっていて問題がある可能性があると判断します。

ただ単に身体が硬い人であれば太ももが浮いてきますがそれが問題でないことも多いです。左右の差をきっちり比べてみることも大切でしょう。 

トレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg’s sign)

次には、お尻の中殿筋という筋肉に問題がある場合に特徴的な動きです。
片足立ちになったとき、一般的にはまっすぐ身体を立てることができますが、

身体が立っている脚と逆側に傾いてしまうのを

中殿筋に問題がある『トレンデレンブルグ徴候』としてみることがあります。 

 

 

腰の問題と股関節は切り離せない関係にある

股関節は普段動かすときも骨盤・腰まわりと一緒になって動いています。

また股関節の痛みを感じられているのに原因は骨盤や腰にあったというようなことがあったり、腰をかばうことで股関節に負担がかかっていたというような間接的な原因になったりすることもよくあります。

そこで、腰の問題の影響があるのかないのかについて最低限はチェックしておくことが必要です。

腰の問題を中心に検査する方法についてはこちらをご覧ください。 

腰の痛みや神経痛を見分けるのに必要な『徒手検査(テスト)法』まとめ

 

おわりに

股関節の問題については、起こっている状態によって

  • 骨折・疲労骨折がある場合 
    基本的には安静に努めて身体が治してくれるのを待つことになります
  • 骨・関節が変形している 
    患部に負担をかけないように注意しながら筋力強化などのエクササイズを行う
  • インピンジメントや原因が特定できないもの 
    腰まわりから股関節を機能的に行えるような機能訓練もしていく必要がある

自分でできる対処方法が変わってきます。

病院で診断してもらい治療をしていくことが1番確実ですが、
「痛みがさほど強くないし、病院に行く時間もとれないからまずは自分でセルフチェックしてみたいな」
というような時、チェックしておおよそを絞り込みができれば、状態にあわせた対応を自分でしていくことも可能です。 

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