腸脛靭帯炎(ランナー膝)の痛みを早く治めてスポーツ復帰するには

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走り込みが多くて、腸脛靭帯炎(ランナー膝)になってしまった方は、少しでも早く復帰したいと思われることでしょう。

しかし、多くの方は少し悪化するまで走り続けられるので治すのも骨が折れるようで

「どれくらい我慢したらいいの?」

「1週間休んだけどまったくよくならない・・」

など休んでも治らないと不安がつのってきます。腸脛靭帯炎には一般的にどのような治療がされるのか、自分でケアして早く治すためにできることを知って不安を解消していただければと思います。

腸脛靭帯炎の病態を確認しておきたい方はこちらをお読みください

走ると膝の外側が痛くて長引く!困ったランニング障害『腸脛靭帯炎』とは

 

腸脛靭帯炎の一般的に行われる治療は

『腸脛靭帯炎』の治療は基本的に手術をしない『保存療法』がされますので実際の内容を順番にみていきましょう!

大原則はとにかく膝を休めて安静に!

腸脛靭帯炎は、『使い過ぎ(オーバーユース)』が1番の原因なので そこで治療の大原則は 『患部安静』になります。

スポーツに支障がない初期(軽症)なら、スポーツ活動の時間を減らすなどでうまくケアしていける場合もありますが、

  • スポーツが痛くてできない、走れない
  • 日常生活でも痛いときがある

ような『重症』では、スポーツは全面休止する必要があります。

スポーツを休止する場合の目安期間は、おおよそ1か月が基本で症状の程度に応じて2週間~6週間程度の幅をみて症状の回復具合により期間を決めていけばいいでしょう!

「痛いらちょっと休んだりもしてみたけどなかなか治らない・・」

と言いながらはっきりしたスポーツの休止期間を知りたがる方が多いですが、ここで甘い見通しを持つと予定通りにいかなかったときのショック・ストレスがこわいので長めに見積もっておくことをおすすめします。

鎮痛処置

湿布や消炎鎮痛薬の処方を受け、痛みと炎症をおさえますが痛み止めをわざわざ飲まないでスポーツを休むのが原則です。

アイシング

腸脛靭帯に起こっている『炎症』を治めるために『アイシング』は有効ですが、
「これをしていれば走っていい」
という誤解をされないようにしてください。

注射

  •  痛みを抑えるために『局所麻酔』
  •  炎症を抑える『ステロイド注射』

の他『ヒアルロン酸注射』をすることもあります。『ステロイド注射』 は、よく効きますが筋肉や腱を弱くしてしまうため、何回も行うことは避けられます。

 理学療法

病院などで行われるリハビリです。

  • 電気治療
    痛みを和らげる目的で、痛みのあるところを中心に低周波などを流します。
  • 温熱治療
    患部を温めることで血流を促進や筋肉の緊張を緩和することが目的になります。
  • マッサージ
    筋肉の緊張をほぐすことで『腸脛靭帯』の緊張を和らげたり、動きやすくすることが目的です
  • ストレッチ
    『腸脛靭帯』の緊張を緩めることを目的とします。
  • 足底板療法
    スポーツ復帰時期などにシューズに足底板を挿れて負担がかかりにくいようにします。

手術療法

治療は原則手術をしない『保存療法』が行われますが症状が強く『保存療法』で改善が見込まれなく長期化(6か月以上)している場合には『手術療法』がされることもあります。

 

腸脛靭帯炎の症状を早く治めるために筋肉バランスをとる運動療法

『腸脛靭帯炎』には、一般的にはストレッチが勧められています。

ストレッチは、特に重症化している方は行うと痛みが伴うことが多く症状の程度によっては勧められない場合がありますのでどのステージの方でも安心して行える体操を今回は紹介させていただきます。

太ももの筋肉の緊張が強くなる原因には、

  • 『猫背』
  • 『腰抜け』

などの不良姿勢が大きく関係しますので関係ないように思えますが不良姿勢を改善することは、症状の改善に役立ちますし再発予防にも重要になります。
是非実践してみましょう!

礼拝ポーズ

  1. 四つ這いになります。
    礼拝1
  2. 片腕をできるだけ前に着きます。
  3. お尻を斜め後ろの天井に向かって引き、胸を床に沈めていきます。
    礼拝2
  4. 10秒そのままの体勢を保ちます。
  5. ゆっくり戻します。
  6. 反対側も同じように行います。

カチカチに硬くなっている方であれば、回数をしていくごとに、身体がほぐれて筋肉が柔らかくなっていくのがわかります。
少しずつ身体が沈む量が増えます。

目標回数 3回×2~3セット

壁付き

まっすぐに立つ感覚を養います。
これで、自分が『猫背』だったり、『腰が抜けて』いていることを確認・修正することができます。

  1.  壁に背中向けにくっつきます。
    壁付き
  2. 天井に向かって背伸びをします。
    そして、踵は壁から2cm程度離れてかまいません。
    壁付き2
    ・おしり
    ・背中
    ・両肩
    ・後頭部
    を壁にくっつけます。
    このとき、顎を軽く引き、腰と壁との隙間をなるべく減らすようおなかを凹ませます。
    壁付き3
  3. この状態で60秒間います。

壁から離れます。

目標回数 3回

終わったときの感覚をしっかり感じます。 始める前と比べてどこがどう違うかを比較してみましょう!
そして、この終わった時の感覚に近づくように立ちましょう!

お辞儀エクササイズ

壁付きエクササイズの続きにあたるものです。
太ももから『腸脛靭帯』の緊張を低下させることができる良いエクササイズです。

ただし、丁寧に正しくおこなわないと 「腰が痛い」 ということになりかねません。

注意しておこないましょう!

  1. 壁付きの状態になります。
    壁付き体操では踵が壁から離れていましたが 今回は、踵もぴったり壁にくっつけます
  2. お辞儀するように体を傾けながら、太ももの後ろを壁にぴったりくっつけていきます。
  3. おなかをしっかり凹ませた状態で天井に伸び上るように体を起こしていきます。
  4. その状態で10秒保ちます。

目標回数 5回×2~3セット

ズルズル体操

これは片側の『股関節』が痛い場合に有効な体操になります。

  1.  仰向けになって、膝を三角に立て、足は腰幅程度に開きます。
    ズルズル1
  2.  お尻(骨盤)を痛くない側にズルズルとずらします。
    ズルズル2
    このとき、床からお尻を浮かさないように注意してください。
    ズルズル3この写真だと右のお尻が床から浮いています。
    このようにならないように腰をまっすぐ横に移動させるように意識しましょう!
  3.  5秒そのままでいます。
  4. ゆっくり元の位置に戻します。

目標回数 10回×3~5セット

この『ズルズル体操』は、うつぶせでもできます。
ズルズル4
ズルズル5

やり方はおおよそ一緒なのでやってみてやりやすい方を選んで行ってください。

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PDE (prone diagonal extention)

次のエクササイズは、

  • 『猫背』解消
  • 体幹を鍛える
  • バランス能力の向上

など、『腸脛靭帯』の緊張を低下させる以外のいろいろな効果が得られるものです。
是非、実践していきましょう!

  1. 四つ這いになります。
    PDE1
  2. 右手と左足を持ち上げます。
    PDE2
    ・腕は、肩甲骨と背中を引き締める感覚で挙げる
    ・足は踵を後ろに蹴りだす意識で挙げる ようにしましょう!
    手から足までが1直線に近づくのを目安に行います。
    挙げすぎで、弓なりにならないように注意してください。
    PDE3
  3. その体勢を10秒保ちます。
  4. 反対側の左手と右足を持ち上げます。

目標回数 10回×2~3セット

 

 

おわりに

『腸脛靭帯炎』は『ランナー膝』と言われ、中・長距離選手に比較的起こりやすいと言われています。
しかし、近年のマラソンブームで一般ランナーの方に起こることも増えてきています。

1度なると、慢性化よりも再発が心配になる疾患とも言われています。

基本的に、適切な『安静』をとることで症状は解消していけますが

「少しでも早く復帰したい!」

「再発したくないから、腸脛靭帯に負担をかけない体づくりがしたい!」

という方には、運動療法をしっかりされることをお勧めします。

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