この肘の痛みがリウマチかどうか自分で見分けるチェック方法とは
「ある日から肘が痛くなってきたけどこれってリウマチ?」
肘が痛くなる原因に特に思い当たることがないときにその原因はなんだろうと不安になられます。
そこで、まず思い浮かぶものに
- 腱鞘炎
肘の外側が痛い『テニス肘(上腕骨外側上顆炎:じょうわんこつがいそくじょうかえん)』や肘の内側が痛い野球肘やゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎:じょうわんこつないそくじょうかえん) - 関節リウマチ
自己免疫疾患と言われているもので、関節に慢性的な炎症が起こるもの
があります。どちらも辛いことには変わりありませんが、症状への対処は
- 腱鞘炎
→そこまで急いで対応しないといけないわけでもなくて、セルフケアなど自分で対処も可能な疾患 - 関節リウマチ
→病院での早期診断と適切な治療を受ける必要がある疾患
と大きな違いがあります。
実際に『関節リウマチ』は指や足の指に症状が出やすいので有名な疾患なのですが、肘や肩・膝など他の関節にも出ますし中でも肘に出る方は意外に多いです。
どちらにしても病院に行けば診断されるのでそれでいいのかもしれませんが、
- 症状は強くないし、病院の前にセルフチェックしたい
- 超早期の場合に専門医でないと診断がきちんとつけられないことがある
などから、みなさんにとって『関節リウマチ』について自分でも確認したいと不安のある方からすれば思われることでしょう。
そこで、今回は
- 腱鞘炎と関節リウマチの症状の出方や初期対応はどう違うの?
- 関節リウマチの治療ってどうするの?
など、実際に自分の肘がそうなのかを知るために必要な情報を紹介していきたいと思います。
腱鞘炎とリウマチの症状の主な違い
「肘が痛い!」
という痛みのある状態は、どちらでも起こりますがよくよくその『痛み』などの症状をみていくとそれが
- テニス肘やゴルフ肘などの『腱鞘炎(付着部炎)』なのか
- 関節リウマチなのか
ある程度の見極めをすることが可能です。(きちんと鑑別するには専門医のところを受診することをおすすめします)
ご自分の症状が当てはまるかどうか順番にチェックしていってみましょう。
1.両肘なのか、片肘なのか
1番にまずこれをチェックしてみてください。
- 両肘が痛い
→まずは「もしかして関節リウマチ?」と疑ってみます。
特に同時期に痛みが両肘に出ている場合は要注意です。
逆に片側の肘がずっと痛くてしばらくその肘をかばってたら反対側の肘が・・という場合には『長引いている腱鞘炎』の可能性も考えられます。 - どちらか片側の肘が痛い
→まずは「テニス肘?ゴルフ肘?」と腱鞘炎を疑ってみますが、リウマチでも『早期』や『単関節型』もあることは頭の片隅に入れておきましょう。スポンサーリンク
ここで、『関節リウマチ』の代表的な症状や特徴には
- 朝の手足の関節のこわばり、動かしにくさ
- 左右対称の関節に関節炎が起こる
- 全身のだるさ(倦怠感:けんたいかん)
- 食欲不振
- 微熱が続く
- 体重減少
- 家族にリウマチの人がいる
などが言われています。
これらの症状をチェックするのがいいと言われていますが、それは少し前までの話でこれらの症状が伴わないケースは非常に多く
- 左右対称に関節炎が起こらないこともあります。
- こわばりは出ることが多いですが、ない場合もあります
- 倦怠感・食欲不振・微熱も起こらないことが多い
ことから現在では、特に重視してチェックする情報に
- 明らかに腫れて(多くは痛みを伴う)関節がどこにどれだけあるか?
- その症状は長く(6週間以上)続いているのか?
- 血液検査でリウマチの因子があるのか?
が挙げられていて、その他はあくまでも補助的に考えるべきです。 詳しく下記のページ等を参考にしていただければと思います。
「関節リウマチ新分類基準(ACR/EULAR2010)」(日本リウマチ学会HPより)
こちらでは、この分類の関節についての特徴に関わるところに焦点をあててみていきたいと思います。
両肘なのか(同時になのか時期にずれがあるのか?)、片側の肘なのか
2.腫れているのか、腫れていないのか
『肘の腱鞘炎』の場合には、痛みはありますけどおおよそ見た目に変化を感じらえるケースは少ないです。
『関節リウマチ』でも必ず腫れるとは限りませんが、腱鞘炎と比べればはるかに関節の腫れ(腫脹:しゅちょう)はみられます。
腫れている場合には、『関節リウマチ』の可能性が高くなりますので要注意です。
腫れている場合には要注意です
3.肘を使ったときだけ痛いのか、そうでないのか
次に『痛みの出方』についてみていきます。
『肘の腱鞘炎』の場合であれば、肘を動かす筋肉と骨をつなぐ『腱』に炎症が起こっている状態なので 『筋肉を使うときに刺激されて痛みが出る』 ものです。
逆に言えば、じっといている場合にはまず症状は出ません。
- 手を使ったり、物を持ったりして肘で支えるとき
- 肘を曲げ伸ばしするような肘の運動をするとき
のような、肘に力が入る動きにあわせて痛みが出ます。
『関節リウマチ』は関節炎が起こっていますので、肘関節に力が入ったり肘を動かす時には痛みが出ますし、 『特に動かしていないときでも痛みが出る』 と痛みの出方に違いが出てきます。
肘や手を使う時だけに痛いのか、関係なく痛いのか
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そして、このときに肘の曲げ伸ばしの角度を確認してみて
- 肘が伸びきらない
- 肘が完全に曲げきれない
などの角度制限があるかどうかみてみましょう。
腱鞘炎でも制限が出ることはありますが重症でないとありませんので、制限があることもリウマチを疑う関節の症状と考えてもいいでしょう。
肘の曲げきれない、肘がまっすぐ伸びきらない場合は要注意です
4.肘以外にも同じような関節の痛みがある
「肘だけ痛い!」 という場合であれば、
- 腱鞘炎
→もちろん、肘以外に症状が出ません - 関節リウマチ
→超早期で肘が初発で起こることもあって油断はできませんが、まだ診断基準を満たしませんのでどちらにしてもまだ様子をみておかれることになります。
というように様子見に変わりありません。
しかし、
「たまたまかもしれないけど、他の関節も痛いんです・・」
なんてことがあればそれはもしかしたら 『たまたまではない』 かもしれません。
他の関節が痛い場合には、その関節の痛みが肘と似ているのか違うのかなどをしっかり観察する必要があります。
痛いのは肘だけ?他の関節は大丈夫?
肘の腱鞘炎の場合はどんな治療をするの?
これまでのチェックをしていただければ、ある程度は推測することができますので、書いている内容が当てはまる方は1度病院を受診されることをお勧めします。
もし、違ったならそれはそれでいいわけですが、万が一『関節リウマチ』だったら対処が大きく変わりますし、様子見ではいけなくなります。
そこで、まず関節リウマチでない腱鞘炎の場合にはどのような対処になるのか?からみていきます。
テニス肘やゴルフ肘などの『肘の腱鞘炎』であれば、主に肘の筋肉に負担をかけ過ぎた
- 日常生活や仕事での動き
- スポーツ活動
などがありますので、それを控えて休めてあげることが基本になります。
それで様子をみていてもなかなか治らない(慢性化)していたり、あとは症状が強い場合には病院で処置を受けることもありますが、特に急いで対処する必要はなくじっくり対処して治していけばよいです。
肘の腱鞘炎について詳細を知りたい方はこちらをごらんください。
「肘の外側が痛い!なかなか治らないテニス肘の原因やセルフ診断・治療法は」
肘の痛みが関節リウマチと診断されたら・・
もし『関節リウマチ』であった場合やっかいですね。
『関節リウマチ』は、『自己免疫疾患』といって、自分の身体に入ってきた悪さをするものをやっつける働き(免疫)にエラーが起こって自分の身体(関節)を敵と間違って攻撃している状態です。
そのため、
- 関節がどんどん壊されて変形してしまったり
- 肘だけでなくて全身の他の関節にも及んだり
することがあって、なるべく早くその攻撃を止めさせないとどんどん悪化してしまうことが心配です。
そこで、『関節リウマチ』の治療の原則として 『早期発見、早期治療』 が掲げられていて、なるべく攻撃されて傷めつけられない前に、その暴走している免疫をおとなしくなせる治療をします。
その治療には
- リウマチの薬を飲む
(リウマチに対して症状を抑えたり、免疫を抑えたりする) - ステロイド注射や点滴
(炎症の症状を抑えるためで必ずするわけではありません) - 湿布
(症状を抑えるため) - 生物学的製剤
(免疫を抑える注射や点滴)
などから患者さんの年齢や症状など置かれている環境によって使い分けられます。
医療の発展によって、最近では早期治療をおこなうことで進行を抑えて関節が破壊されるのをかなり防ぐことができるようになっています。
症状を早く治めて、関節を変形させない、痛みを抑えるために早期治療は必要でそのためには早期診断のため病院を受診する必要があります。
おわりに
「肘が痛い!もしかしてこれってリウマチ?」
と思われる方の多くは肘の腱鞘炎だと思います。
ただし、その中にも本当に早期の『関節リウマチ』の方もいらっしゃいます。
もし、『関節リウマチ』だったら早期治療を開始することがその後を大きく左右することもなりかねません。
「リウマチかどうか心配だから早く病院ではっきりさせてもらいたい!」
と思って病院に行かれる方はそれでいいのですが、
「病院に行った方がいいのかな?どうしようかな、もし本当にリウマチだったら怖いし」
「まさか私がリウマチになるなんてことないんじゃない?」
と、不安からなかなか行動ができずに悩まれている方もたくさんいらっしゃると思います。
そういう不安で悩まれている方が少しでも不安が解消されて、よい判断をしていただければと思って書きました。
みなさんの不安解消のお役に立ったなら幸いです。
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