腰痛の原因になる骨盤のゆがみと関連の深い『仙腸関節』とは?
「椅子からの立ち上がりや前かがみになると、おしりが痛い!」
「仙腸関節が腰痛の原因だと言われたけど仙腸関節の状態を知るための方法が知りたい」
という方、単なる腰痛かな?と思って整体や整骨院に行ったら、
「仙腸関節が悪くなってますよ」
と説明されることがあります。
腰が痛いのが、関節が悪くて起きてるなんて思ってもみなかった人からすれば驚きです。
仙腸関節は骨盤のゆがみと関係が深くて治療するには骨盤矯正とかを受けないといけないようなことを言われたりもします。
「そもそも仙腸関節って何?」という疑問を持たれた方のために今回は仙腸関節の
- 位置や動きについて
- 関連のある腰痛やそのチェック方法
についてわかりやすく紹介していきたいと思います。
仙腸関節ってどこにある関節でどんな働きがあるの?
仙腸関節への理解を深めていくためにまずは仙腸関節がどんな関節なのか?どこにあるのか?などから知っていただこうと思います。
仙腸関節は、
- 仙骨(せんこつ)
お尻の真ん中のところにある骨で尾骨の上 - 腸骨(ちょうこつ)
ベルトをしたときにひっかかいわゆる骨盤のところの骨
をつなぐ関節のことを言います。
まずは、だいたいの場所を触って確認してみてください。
- 腰とお尻の間の高さを目安にします。
- 真ん中より指2~3本分横のところに骨が出っぱっているのを探してみましょう!
- その出っ張りの奥に『仙腸関節』はあります。
場所を確認したとき、
「ここ!自分の腰痛はここのところが痛むんです!」
と思われた方、あなたの腰痛は『仙腸関節』が腰痛の原因になっている可能性が非常に高いと考えることができます。
仙腸関節はどんな役割をしているの?
仙腸関節は、
- 背骨から伝わってきた重力の重みを足の方に伝達する(荷重の伝達)
- 背骨や股関節の運動を助ける(運動補助)
などの役割があります。運動では特に股関節の動きとの関連が深いです。
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仙腸関節はどのように動くものなのか
『仙腸関節』の運動についての捉え方については、昔はカイロプラクティックドクターと西洋医学のドクターでは大きく違いがあったようです。
- いわゆるお医者さんは
「仙腸関節は動かない!」 - カイロプラクティックのお医者さんは
「仙腸関節は動く!」
という考えで対立していたと言います。
現在は、仙腸関節が動くという共通認識がありますがその昔からの流れがあって今でも日本のお医者さんはあまり仙腸関節に対して関心が少ないようです。
また、仙腸関節に問題があると医学的に断定がなかなかできないこともあってお医者さんは仙腸関節を軽視する傾向があって、その他の治療家とで考え方に大きな違いが出てきます。
仙腸関節に関する診断などのその難しい現状についてはこちらをお読みください。
「仙腸関節性腰痛の診断には、画像診断よりも徒手検査(テスト)が重要!」
仙腸関節が動ける範囲はほんのわずか
実際に仙腸関節は
- 回転運動→0.2~2°
- 並進運動→1~2mm
のような運動をします。
その数値については報告によってややばらつきはありますが、どちらにしても動きはかなり小さいものです。
仙腸関節は、年齢を重ねるごとに
- 関節の軟骨の厚さが減ったり
- 関節まわりの組織(軟骨・関節包・滑膜)が線維化する
などの加齢変化によって仙腸関節の動きはどんどん少なっていきます。
それは、40~50歳を超える頃から、よりはっきりしてくると言われています。
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仙腸関節性腰痛を自分でチェックする方法は
自分の腰痛が仙腸関節と関係があるのかそうではないのかは、仙腸関節性腰痛の特徴を知ってチェックすることができます。
まずは、仙腸関節に問題が起こったときに
- 痛みの場所や質
- 痛みの出やすい動き
などの特徴から紹介していきます。
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仙腸関節が原因の痛み
仙腸関節が原因で起きる痛みは、『仙腸関節』を探したときにあった出っ張り(上後腸骨棘)の付近に出ることがほとんどです。
他には太ももから足先にも痛みが出ることもあることからカイロプラクティックや整体などでは、太ももや足の痛みの治療なのに骨盤矯正をします。
実際それで症状がよくなるのは、このような仙腸関節による関連痛によるものなのです。
出産後の腰痛
仙腸関節が原因の腰痛で一番知られているのには、
『出産後の女性に起きる』
特有な痛みです。
出産の時に赤ちゃんが出てくるために骨盤が大きく開きますが 出産後には、少しずつ閉じて元に戻っていきます。 その間に『仙腸関節』が痛むという腰痛があります。
症状としては、
- あぐらが痛い
- 股関節が開かない
などです。
昔は出産を終えた女性が、
- さらしを骨盤に巻いて骨盤を締めつけ
- 数週間は無理に動き回らない、重いものを持ったりしない
ように言われましたが、それは出産後の骨盤が閉じるのをきちんと固定してサポートしようと経験からわかっていたわけです。
ところが、今の女性はへっちゃらで動き回るようですが、個人的には、出産後1ヶ月くらいはなるべく骨盤を開く動きを避け、さらし(現代であれば『コルセット』や『骨盤ベルト』)を巻いて生活することをおすすめします。
- 『コルセット』(幅の広いもの)
- 『骨盤ベルト』(幅の狭いもの)
指差しできる痛み
『仙腸関節』が原因の腰痛は、出産後の女性が特徴的でわかりやすいですが、全体の中の一部でしょう。
腰痛全体の3~30%くらいが『仙腸関節性腰痛』と言われております。
割合は報告者によってかなりばらつきがあるためにこんなことになっていますが、それでもそこそこ診る機会のある腰痛だなという印象はあります。
それを簡単に見分ける方法がありますのでそれをまずは知っておいてください。
それは、
『ワンフィンガーサイン(One finger sign)』
という指差し兆候です。
前にも書いておりますが、痛みがあるところがはっきりとしていて
「ここ!ここが痛いんです!」
といって指でその場所を指し示せるような状態を言います。
他の腰痛の場合には、
- 場所が違う
- 痛いの範囲が広い
- ぼんやりとした鈍い痛み
など痛みの訴えかたが違っていますので、これを頼りにみてみると一般の方でも見分けは可能でしょう。
そして次にわかりやすい特徴が 『片側に出ることがほとんど』 ということです。両側に出ている場合は、違う原因での腰痛を考えていくほうがいいでしょう!
身体の動きでも仙腸関節の痛みは推測することができる
腰を傷めているときにはいろいろな動きで痛みが出ます。『仙腸関節性腰痛』で出やすい痛みの出る動作は、
- 椅子からの立ち上がり
- 排便動作
- あおむけで寝る
- 横向きに寝たときの床側が痛む
- 前かがみ
- 股関節の動き
などがあります。特に1,5,6はよくみる印象があります。
椅子から立ち上がるときに、片側の腰というかお尻のあたりがピンポイントで痛みような感じであれば、『仙腸関節性腰痛』の可能性が高いでしょう。
他には、あぐらや椅子に座っているのはつらいけど正座は楽だと言うのもひとつの特徴ですが、これは他の腰痛でも当てはまる場合が多いので、はっきりとした特徴とは言えません。
おわりに
『仙腸関節』とは、骨盤の歪みや腰痛などに関連が深いと言われることで耳にする機会が比較的多い関節だと思われます。
どういう関節で関節に問題が起こっているタイプの腰痛(仙腸関節性腰痛)なのかを自分でセルフ診断するためのポイントをご紹介しました。
『仙腸関節』が悪いと言われたという方や、骨盤のあたりが痛いとお悩みの方は1度チェックしてみてください。
もっと詳しく『仙腸関節性腰痛』を検査する方法を知りたいと思われた方はこちらをお読みください。
「仙腸関節性腰痛の診断には、画像診断よりも徒手検査(テスト)が重要!」
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