膝の裏がつっぱって痛い原因は筋肉?自分で痛みを解消する体操やテーピングとは
「歩いていると膝の裏側がつっぱるような痛みが出てきた」
「正座をするときに膝を曲げると膝の裏側がつっぱって完全に曲げきれない」
膝が痛いと言う方で1番多い場所が『膝の内側』で、それに次いで膝の前や外側などの痛みをよくうかがいます。
それらの場所には、半月板や靭帯、膝を動かす有名な筋肉があってそれらが傷んでいるのがなんとなくわかります。
しかし、膝の裏側について同じように考えてみるとそこまで傷みそうな有名な組織がないのに、実際に痛みを訴える人がいらっしゃいます。
膝の裏側の痛みは中高年の方の、はっきりと関節が傷んでいるわけでもないような変形性膝関節症の初期くらいの方に多いです。
その膝裏の痛みの原因にはあまり有名ではありませんが『膝窩筋(しっかきん)』という筋肉が関わっていることが多くその筋肉が傷んだ『膝窩筋炎』という状態があります。
そこで、今回は膝の裏の痛みの『膝窩筋炎』についてその症状や治療・テーピングなどについて紹介していきます。
膝窩筋とは
膝窩筋とは膝の裏にある筋肉で膝の裏側をやや斜めに走っている筋肉です。
この筋肉の働きは一般的には
- 膝を曲げる(屈曲)
膝を曲げる主役はハムストリングなどの大きな筋肉がしています。膝窩筋は筋肉が大きくないため、あくまでも補助的な役割を担っていると考えてください。 - 膝から下を内側に捻る(下腿 内旋)
大きな筋肉は主に曲げ伸ばしなどで強く働きます。
捻りの動きはそれに伴って起こりますので膝窩筋のような小さい筋肉が動きの調整役として大きく関わってきます。
と言われています。
そこで、膝窩筋が伸ばされて負担がかかりやすい動きは
- 膝を伸ばす(伸展)
- 膝から下を外側に捻る(外旋)
と考えられますが、実際には、
『正座のように深く曲げきった時は膝を伸ばす時よりもより強く筋肉が伸ばされる』
ことが重要なポイントとしてあります。
このような曲げ伸ばしの角度によって筋肉が伸びたり縮んだりが逆転するようなことは基本的にはありませんが、膝関節の特殊な構造上起こっている状態です。
理学療法 24巻5号 メディカルプレスより
このことから、変形性膝関節症になる一歩手前の方や、初期にさしかかっている方がよくおっしゃる
「最近膝を完全に伸ばせなくなってしまった」
「正座は膝裏が引っ張る感じがして坐り切れない」
という一見矛盾したような状態は膝窩筋のこの変わった特性を把握していればスッキリ理解することができます。
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膝窩筋を傷めやすい人の特徴は
膝窩筋に負担をかけてしまったり、傷めてしまいやすい人の最大の特徴は『がに股』です。
その中でも男性のように股関節から足全体ががに股になっているタイプよりも、女性で股関節から膝まではさほど外に開いていないのに、足先がすごく外に向いているようなタイプの方は要注意です。
変形性膝関節症になっていくとこのような症状が起こるのは、変形性膝関節症の方は
『膝から下が、前に出て外側に捻れていく』
傾向があるためです。
これで膝窩筋がいやおうなしに伸ばされ続けてそれが負担になってしまうのです。
また、膝裏を自分で直接見ることはまずないと思いますが、膝窩筋に負担がかかっている人は、膝裏が少し膨らんでいたり、押さえると硬く張っているのがわかったりします。
膝窩筋のケアになる体操や生活の注意点は
膝裏に痛みがあるなと思ったときには、まず『膝の捻る動きに問題があるか』チェックすることをおすすめします。
- おおよそ膝が直角に近い角度になるような椅子に座ります。
- 両手で軽くふとももを押さえてから膝下から内外に捻りの動きが出るように動かしてみます。
- 内外に捻って違和感・痛みがあるかどうか確認しましょう。
まずは、これで
- 内外ともに痛みや違和感などがなく捻じることができる
- 内側に捻るのはスムースだが外側はまわしにくい、違和感がある
というような状況であれば、この動きを使って膝窩筋にアプローチできます。
多くの方はこのチェックをクリアできますが、中には膝窩筋以外の半月板などの問題も一緒に起こっているケースがあります。
すると、『内側に捻ると違和感・痛みが出る』ことがあります。
この場合には、次の体操は行えませんので無理しないように注意してください。
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膝窩筋エクササイズ
先ほどのチェックと同じように座って膝から下を内側にゆっくりまわしてそのまま5秒程度ポーズを保ちます。
1回真ん中に戻して
また内側にまわすという繰り返しを15~20回します。
これで膝窩筋がしっかり収縮して刺激することができて負担の軽減にもつながってきます。
注意点としては
- 膝が左右に動かない
グラグラ動かないかをチェックするために手を膝まわりに添えています。
- 足先だけ内側に向けない
膝下から内側にしっかりまわるように意識せず、足先だけ力が入って内に返してしまっては効果が下がります。
必ず膝下のところから動いているのを添えている手で触って確認しておきましょう。
があります。
日常生活での注意点
日常生活では、知らず知らずに足先が外側に向く『がに股歩き』になっていませんか?
極端に内側に向ける必要はありませんが
- 内ももを軽く締めて
股関節から足が開いて脚の横幅が広すぎるのはそもそも問題です。
横幅を5cm程度狭くしてみましょう。
- 膝のお皿はおおよそまっすぐ
完全にではなくてかまいませんのでだいたい前方向を向いているかチェックしましょう。
- 足先は軽く外を向く程度
足先はまっすぐ正面向くのはやりすぎです。
少し斜め外側に向く程度で今までの自分の角度を少し内向けるという方法でよいでしょう。
これらを少し意識して歩いてみられることをおすすめします。
テーピングによる補助をするには
膝下が外側に捻れるクセをいきなり意識だけで直すのはなかなか難しいところです。そこで、内側に捻ることを意識づける助けをするためのテーピングの方法を紹介します。
- 用意するのはキネシオテープ(50mm)です。
- 20cm程度の長さでカットします。
- 膝を丸く曲げた状態で膝下を内側に捻っておきます。
- 脛の前から内巻きに太ももまで螺旋を描いて巻き上げます。
テープは軽く引っ張り気味にしましょう。
このとき、巻く経路はおおよそで構いませんが、膝裏はかぶれやすいため通らないようにするのがポイントです。
おわりに
今回は紹介したエクササイズは、膝窩筋炎だけでなく初期の変形性膝関節症の痛みにも改善効果があり、軽い痛みであればエクササイズ直後に治っているようなこともしばしばあります。
スポーツなどで一時的に炎症を起こしている場合にはまだ注意はそこまで必要ないかもしれませんが、自分が変形性膝関節症への関係がありそうな状況の方であるならば、膝裏が痛いだけの内にしっかり膝全体のケアを始めることをお勧めします。
よくあるケースでは、膝裏の違和感・痛みから膝の内側の痛みが起こり、病院に行ったら変形性膝関節症だった・・というものです。
そうなると、痛みを改善するのがどんどん難しくなってきます。
早いうちに問題の芽を摘んでおくような意識を持たれることをお勧めします。
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