足の親指・人差し指がしびれる原因は前足根管症候群!?その治療は
「足の甲や指がしびれる」
というとき、何が原因でなったのか知ることは対策を考えるうえで必要なことです。
このような足の甲や指がしびれる状態で一般的な疾患と言えば
- 坐骨神経痛
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
など、腰まわりの神経の障害に原因があって起こる『神経症状』として出てくるものです。
確かに罹られる方の割合からすれば、これら『腰からの神経痛』が圧倒的に多いですが、それ以外に『足まわりの神経に原因が起こる』ものもあります。
今回は、そのひとつである
『前足根管症候群(ぜんそっこんかんしょうこうぐん)』
について紹介していきたいと思います。
前足根管症候群の可能性があるのは?
「私の症状が、腰からなのか足からなのかどっちの可能性を疑っていけばいいかそもそもわからない」
という方はこちらでその区別のポイントを紹介していますので、詳しくはそちらをご覧ください。
ここでは、その中でも『前足根管症候群』を疑うことのできる特徴をまずは簡単に知っていただこうと思います。
- 足首の前・足の甲を押さえつけるなどのストレスをかけてしまったと思う原因が思い当たる
- 足の親指と人差し指の間がしびれる
- 靴を履く、足首を動かすなど足に関係して症状が強くなる
などがある場合には、『前足根管症候群』も疑ってみておく必要があります。
前足根管症候群とは
足首の前を触ってみていただければおわかりいただけると思いますが、厚みがあまりありません。
その薄いところを
- 足先の感覚・運動の情報をやり取りする『神経』
- 足先に向かっての血液を送っている『血管』
- 足首や足趾を反らせる運動をする『筋肉』
が通っていて、クネクネ曲げ伸ばしする足首の動きでもしっかりまとまっていられるように
『下伸筋支帯(かしんきんしたい)』
というバンドで止められています。
そこを通っているものには、
- 深腓骨神経
- 足背動脈
- 前脛骨筋腱
- 長母趾伸筋腱
- 短母趾伸筋
- 長趾伸筋
- 短趾伸筋
があり、これらがぎゅうぎゅうに詰まった状態で通っています。
「うわぁ~難しい名前がいっぱい並んでるなぁ~」
と思われるでしょうがこれらの名前をひとつひとつ覚える必要はありません。
このバンドで止められている中に通っている、
『深腓骨神経』
が何かしらの原因で障害されることによって『しびれ』などの症状を起こすものを
『前足根管症候群(anterior tarsal tunnel syndrome)』
と呼びます。
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前足根管症候群になる原因
『前足根管症候群』になる原因はいろいろありますが大きく2つのタイプに分けることができます。
この基準は、
- 自分で対処が可能なものか
- 自分で対処できることが特にないものか
に分けられます。
それらを順番にみていきましょう!
1.主に何かしら物理的に神経の邪魔をするものができた場合
通常はないもので、神経を障害(圧迫)するものができてしまったというもので
- ケガでのむくみ(浮腫)や内出血での血の塊(血腫)
- 足の変形や過剰骨
- ガングリオン
などが神経の走行上に起こって、物理的に邪魔してしまっているというものです。
これらは、むくみや血の塊は治まりますのでいずれは解消されていきますが、他のものに関しては自然に解消されるのを期待するのは難しいでしょう。
そのため、神経を障害されることで起こる『しびれ』などの症状はなかなか解消されません。
2.生活習慣などにより負担をかけてしまっている場合
一般的な生活とは違う形で足首周辺に負担をかけてしまっていた場合に起こってきます。
- 足首を曲げたり伸ばしたりを頻繁に繰り返すスポーツをしている
- スキーブーツなど硬い靴を履いている
- シューズの靴紐をきつく縛り付けていまっている
- 正座習慣がある
など、直接繰り返し強い圧迫をかけてしまっていた習慣などに思い当たるものがあるという場合です。
経験上はこちらの習慣による神経障害の方が多かったです。
前足根管症候群の症状
『前足根管症候群』による症状は
- 足趾の第1・2間にでる『しびれ』『感覚が鈍い(知覚低下)』
- 短趾伸筋の筋力低下
- 夜間のしびれ痛い感じ(夜間痛)
があります。
みなさんにまず確認していただきたいのは、
『しびれの範囲』
です。
筋力低下はちょっと自覚されにくいですが、この『しびれ』ははっきりとわかる方が多いのでじっくり触りながらしびれの範囲を確認してみましょう!
次に『短趾伸筋』の状態を確認するときには
- 足の甲の筋肉が痩せ細っていないか?
『短趾伸筋』が痩せているとしっかり見極めることは難しいので、足の甲の見た目が左右の足で違わないかと見比べてみることをお勧めします。 - 足の指(足趾)を反らせる力
足趾を反らせてみるときに手で足趾を押さえた状態でしっかり力が入れられるかと比べてみるのがいいでしょう。
そして、症状というわけではありませんが、神経を圧迫している原因がはっきりある場合には、『圧迫を起こしている場所を押したり、叩いたりすると痛い』という場所がピンポイントであることがあります。
ここは、鋭い痛みであったり、電気がビリビリッと走るような痛み(放散痛)のような痛みであったりします(Tinel sign)
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前足根管症候群の治療
『前足根管症候群』の治療は、原因によって変わります。
- 怪我による浮腫や血腫
こちらは一時的なもので、自然に治まっていくのをまずは待ちます。 - ガングリオン
自然になくなることを期待できなくはないですが、注射針でつぶす(穿刺)か手術で取ってしまったりします - 変形などによる骨棘
飛び出して圧迫している原因になっている骨を手術で削ってしまいます
など物理的に圧迫している因子がはっきりしている場合は、これを取り除く必要がありますので、それに応じた処置がなされます。
どちらかと言えば多い対処・治療法は
- 靴の種類や靴紐の当たる位置などの『環境要因』
足の甲に当たるストレスを軽減させるために、靴の種類や靴紐の縛り方を変えたり、障害が起こっている場所のまわりにクッションを当てるなどをして、物理的に神経にかかるストレスを軽減させます。
- 運動や習慣などの要因を減らす『生活要因』
足首を曲げ伸ばしするバレエなどのスポーツを休んだり、正座を減らすなど障害の原因になる動作を減らします - 飲み薬
痛みを抑える『痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)』を服用する
- 炎症を鎮める注射
しびれや痛みが強い場合などに麻酔やステロイド注射を行う
などを必要に応じて行います。
おわりに
『前足根管症候群』は、坐骨神経痛などでしびれるという経験をされた方でなかったり、まわりにそのような症状を経験したことのある方がいない場合には非常に不安になってしまいます。
しかし、環境や習慣が原因に起こっているものだったなら、その原因をしっかり取り除いていくことをするだけで改善していきますのでそこまで不安になられることもないでしょう!
「症状を自分で確認したけど『前足根管症候群』っぽいな・・」
と思われた方は、じっくり症状を確認しその圧迫因子をみつけそれに応じた対処をしていきましょう!
『前足根管症候群』であってもいきなり手術になったりはそうそうありえませんのでしばらく経過をみてみられてもよいでしょう。
「どうしてもはっきりしない、不安で仕方ない・・」
と自分でみていてもあやふやではっきりしないという方は、病院に行って診てもらいましょう!
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