手の腱鞘炎は手だけストレッチではダメ!予防改善する体操とは
手が痛くなって病院や治療院へ行ったら
「腱鞘炎ですね~手を使い過ぎないように休めてくださいね」
と言われた経験をされた方は多いのではないでしょうか。
手を酷使したのは確かですが
「腱鞘炎の原因はわかったけど、休められないし治療に通う時間もない」
という話をよく耳にします。
今のパソコンや事務作業で手をたくさん使うのが当たり前の環境を変えられませんし、治療に通う時間を定期的に大変でしょう。
そこで、仕事をしながら自分で負担を解消して治療できる方法があれば実践したいと思われるのではないかと思いますので、今回は 『手の腱鞘炎のセルフケア』 について紹介していきたいと思います。
腱鞘炎と一口に言ってもいろいろある?
『腱鞘炎』とは、筋肉の両端は骨についていますが、その筋肉と骨の間にある『腱』を包んでいる『鞘(さや)』が使い過ぎなどによる負担で炎症をおこしている状態を言います。
このような使い過ぎによる腱のまわりに出る炎症を細かく分けると
- 腱炎
- 腱鞘炎
- 付着部炎
などさまざまあって、医師や治療家にとってはその区別は必要かもしれませんが、患者さん側としては対処の方法が変わらないため細かい区別はどうでもいいと考えます。
そこで、今回はそれら全部を腱鞘炎とまとめて呼ぶことにします。
腱鞘炎はあちこちに起こる!
手のまわりに起こる腱鞘炎に入るものとして
- ばね指(弾発指)
指の手のひら側に起こるもので、指を曲げたら伸びなくなって無理に伸ばそうとするとパチンとバネのように伸びるところからついています - ドケルバン病
親指の手の甲側に起こります。ものをつかんだりするときに痛みがでる - テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
テニスに代表されるラケットスポーツなどに多い。現代では、パソコン作業などでも起こります。 - ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
ゴルフや野球などでおこりやすい肘の内側の痛み - 上腕二頭筋長頭腱炎
腕の力こぶの筋肉の問題で肩の前が痛むもの
などがあってそれぞれ病態は違いますが、『手を酷使していること』が原因なのはおおよそ共通しています。
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腱鞘炎のセルフケアの基本のき
まずは、あちこちで言われ続けてうんざりかもしれませんが『負担がかかる環境を改善する』ことは外せません。
「けど、仕事(スポーツ)を休めない!」
という方は、完全に休まないでも工夫次第で負担を減らすことはできます。例えば、
- デスクの高さを変える
比較的低いデスクで作業されている方が多いため、少しデスクの高さを高くしたり、机の上に台になるものを置いて高さを全体的に上げるなど - マウスの位置を内に寄せる
マウスを自分の身体からなるべく離れた位置に置かないことです。
そして、外側に出せば出すほど手にかかる負担は大きくなるものと思っていてください。 - 肘と脇の位置を近づける
肘と脇の距離が空く作業をするほど腱鞘炎になりやすいと思っていてください
など、ちょっとポジションを変えることも大切なケアになりますので、これらをチェックして変えられるところはさっそく変えてみましょう
腱鞘炎のセルフケア体操
環境について対策出来ましたら、次はセルフケア体操をストレッチだけにこだわらず、『腱鞘炎』を治す効果がしっかりとれるものを順に紹介します。
1、リバースプッシュアップ
最初に紹介する種目は、手とは直接関係なさそうにみえる
- ストレッチ
胸・肩周りの普段の生活で縮こまりがちな筋肉を伸ばしていきます - ゆるめる
普段、猫背や腕を前に出し続けることで負担を受けている背中、脇の筋肉をしっかり縮めて緩めていきます
です。
「手の腱鞘炎をなんとかしたいんだけど・・」
と思われるかもしれませんが、関係なさそうに見えて実はものすごく関係のある場所です!
ここを外さずやることが効果的な腱鞘炎ケアに結び付きます。
- 机や椅子などに背を向けて両手を乗せます
- しっかり胸を張った状態で身体を床方向に沈めていきます
- 20秒を目安にその体勢を保ちます
目標回数 3~5回×3セット スポンサーリンク
2、壁ストレッチ
次はどこでもいいので壁を使って行います。普段縮みがちな、胸(胸郭)を開き自然に胸が張れて猫背が解消されるようにしていきます。
『猫背』と腱鞘炎はセットのようなくらい縁が深いのでここからしっかり解消しましょう!
- 壁の前に立ち、腕を斜め上に伸ばした状態で壁につきます
- ついた手と反対側に身体を捻り、伸ばした腕の付け根を壁に近づけていきます
- 腕を床と水平にし、肘を曲げて行う方法もしてください
- その体勢を20秒程度保ちます。
目標回数 3~5回×3セット
3、コンプレッションストレッチ(内外)
次に『肘の腱鞘炎』のケアのストレッチをしていきます。
指の腱鞘炎でもここを飛ばさないように順番に進んでいくことをお勧めします。
- 手首を反らせてから肘の下の筋肉があって1番太いところ(肘から指2~3本分下)をギュッとつかみます
- 手首を手のひら側に曲げてから手の甲を太ももに押し付けていきます
- 今度は逆に手首を手のひら側に曲げておき、肘の内側の下のところ(肘から指2~3本分下)をギュッとつかみます
- 手首を反らせ指先を自分の方に向けて手のひらを太ももに押し付けていきます
- その体勢を20秒程度保ちます。
目標回数 1~3回×3セット
4、橈屈ストレッチ
次に少し動きが小さいのでわかりにくいかもしれませんが、手首まわりの筋肉をストレッチしていきます。
- 手首を親指側に曲げて太ももの上にのせます
- 反対の手で手をつかんで固定してから
腕を内側に引くようにします
- その体勢を20秒程度保ちます。
目標回数 1~3回×3セット
5、水搔きストレッチ
次に手のひらと指の間の水搔きをストレッチしていきます。
- 太ももの縁に人差し指をひっかるようにして、
反対の手で親指をつかみます
- 親指を反らせながら水搔きを開くように引っ張ります
- その体勢を20秒程度保ちます
- これを順番にひっかける指を中指→薬指→小指と変えていきます
・中指
・薬指
・小指
目標回数 1~3回×3セット
5、MP伸展ストレッチ
次は、指の付け根の関節まわりをしっかり反らせていきます。
ポイントは、他の指先の関節は軽く曲げて行うことです。
20秒程度を目安に伸ばしていきましょう!
6、指反らせ
最後に指を反らせていきます。
これが腱鞘炎の方やその予備群の方はものすごく硬くなってきます。しっかり普段からストレッチする習慣を身につけましょう!
全体を通してもポイントを押さえておきましょう!
体操の中でも直接手や指をストレッチするものに意識がいきやすいと思いますが、実際はその考え方を逆転させていただきたくて
『最初に肩まわりからしっかりほぐして、次に肘→手首まわり→指まわり』
と離れたところからじっくりやっていただける方が、実は効果がしっかり出るということを知っておいてください。
個人的には、お風呂の湯舟に使っている時間を使って行うことを習慣にしており、お風呂でほぐれている筋肉なので実践しやすいのでおすすめです。
おわりに
一般的に紹介されているものに『手首のストレッチ』
があります。
「ストレッチが好きだからストレッチからやってみたい!」
と思われる方は、正しくストレッチをする方法をこちらで紹介していますのでこちらをご覧ください。
「腱鞘炎や肩こり改善に『手や手首のストレッチ』を安全で効果的に行うコツは!」
腱鞘炎は、『負担がかかる職業病みたいなもの』と思ってあきらめてしまいがちですが、放っておいても簡単に治ってくれませんし、腱鞘炎も重症になれば日常生活も辛くなって中には手術に至るものもあります。
また、腱鞘炎の負担は骨や関節にもかかっていて、そのような生活を続けていると『変形性関節症』を起こしてしまいかねません。
いったん変形してしまった骨や関節は一生元に戻りませんので大問題ですので
「腱鞘炎なんて誰でもなるもんでしょ!?」
なんて軽く考えてしまわないように腱鞘炎も早く手を打って治していくことが大切です。
忙しくてめんどくさいかもしれませんが、ご自身の身体のケア実践をお勧めしたいです。
お身体に関するお悩み解消にお役に立てる情報が提供できていますと幸いです。
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と思われた方は、こちらで直接診せていただくこともできます。
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