指のしびれの原因が『手根管症候群』か自分でチェックする検査とは

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正中神経を刺激して手根管症候群かみる徒手検査

ここからは、正中神経に負担をかけて、神経症状が出るかで手根管症候群かを確認していく検査方法です。
ここですることは検査でするならいいですが、普段の生活の中で習慣的に同じことをしたりはしないように気を付けてください。

1、チネルサイン(Tinel sign)

『手根管』のすぐ下に『正中神経』があって通常は『手根管』を刺激しても何もありませんが、神経が障害されている場合は、過敏になっているため刺激すると 『ビリッ!!』 とします。

  1. 何か先の硬いものを用意します
    医療従事者であれば 『打鍵槌(だけんつい)』 を用いるのが一般的です。
    手根管症候群検査チネルサイン1
    みなさんであれば、 『スマホ(携帯電話)の角』 を使うとちょうど良いと思います。
    (角の尖り具合、硬さ、重量感をみてもなかなかいい線いっています)
    手根管症候群検査チネルサイン2
  2. 手根管部を叩いていき、『ビリッ』と電気が走ったら陽性とします

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2、ファーレンテスト(phalen test)

手首を大きく曲げると、神経が ・ギュッと圧迫され

  • 神経の走行が急カーブする
  • 手根管の内圧が上昇する

ことでストレスがかかることを使って正中神経に負担をかけて症状が出るかをみるテストです。

  1. 両手の甲を互いに合わせるようにします
    手根管症候群検査ファーレンテスト
  2. しばらくそのままの状態でいます(60秒目安)
  3. しびれが強くなったり症状が出たりすれば陽性とします
  4. 反対に合掌するように手のひらをあわせ、肘を横に張った状態でも同様に行います
    (逆ファーレンテスト:Reverse phalen test)
    (合掌の手:oriental prayer’s hand)
    手根管症候群検査逆ファーレンテスト

3、示指過伸展テスト

これは、神経に引きのばす力のストレスを加える検査です。
『腰椎椎間板ヘルニア』で『下肢挙上試験(SLR)』を行うのと同じ原理です。

  1. 手首が完全に反り、人差し指も目いっぱい反るまで手前に引っ張ります。
    示指過伸展テスト1
  2. しばらくそのままの状態でいます(60秒目安)
  3. しびれが強くなったり症状が出たりすれば陽性とします。

4、手根圧迫テスト

『手根管』の部分を外から指で圧迫することで『正中神経』にストレスをかけるテストです。

  1. 手首をベッドや机などの上に置きます。
    手根圧迫テスト1
  2. 『手根部』に指を当て上から押さえつけます。
    手根圧迫テスト2
  3. 60秒程押さえ続け、しびれなどの症状が強くなったりしたら陽性

自分でやることを前提にしたやり方の紹介をしております。
やややりにくいものもありますが、やってみてください。

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手根管症候群の診断

『神経』にストレスをかけている原因が

  • 手首を骨折したことがある方
  • 骨折によって変形治癒している人

など、『骨の変形』 によるものである場合は、 『X線(レントゲン)』 でおおよそわかります。

手根管部に『ガングリオン』や『腫瘍』などの異物ができている場合には、 『MRI』でわかります。

これらの検査でおおよその確定することができますが、最終的に『正中神経』に障害が起きているのかどうかを確認するには、 『電気生理学的検査』 を行う必要があります。

『電気生理学検査』では、 電気刺激を使って、実際に神経が信号を伝える速度を測ります。

神経が障害されているところでは、電気信号が送られている速度が遅くなる結果が数値で出ます。
『神経』を直接調べる検査として『手根管症候群』では有用な検査になります。

 

手根管症候群の治療

『手根管症候群』の場合、いきなり手術になるケースは少なく手術以外の『保存療法』をまず行い経過観察をします。

安静

『手根管症候群』は、『手や指の使い過ぎ病』と言っても過言ではありませんので、それ以上手や指を酷使することを避けなければいけません。

しかし、ご自分の生活を変えることなく治したいという無理を通したい方が普通ですがなんとか休めなければいけません。

装具療法

「安静はわかるけど、手を使わないなんてできない・・・」
とみなさんおっしゃいます。

そこで、硬さのある装具を着用することで 『半強制的に手首を安静にする』 ことをします。

指は使えても、手首の動きを止められるのは意外に苦痛で
「慣れるまでは最初夜なかなか気になって寝付けなかった・・・」
と言うようなことをおっしゃる方が多いです。

実際着けている方の話を聞いている中では
「つけているけどあんまり変わった気がしない・・」
という方がほとんどです。

「ちょっと楽になりました」
という方はたまにいますが、劇的に改善する方はいなかったように思います。

注射

頸肩腕症候群原因注射

手根管内を通っている筋肉の腱が『腱鞘炎』を起こして手根管の内圧が増して『神経』に負担をかけていることがあります。

そのようなケースでは、
『手根管』に 『ステロイド注射』
をすることで『手根管』内の『炎症』を抑えることで『しびれ』が改善することがあります。

服薬

頸肩腕症候群原因薬

  • 神経痛
  • 末梢神経障害(手根管症候群はこれにあたる)

に、『ビタミンB12』を処方されます。

副作用の心配がほとんどないことから
「とにかくこれ飲んでおいて」
と病院で処方されるお薬です。

これの効果については個人的にはまず劇的なものはないと考えております。

リハビリテーション

病院でのリハビリテーションは

  • 痛みを和らげる『電気治療』
  • 筋肉に対するマッサージを中心とした『徒手療法』
  • 筋肉のセルフケアを目的にした『ストレッチング指導』

などが挙げられると思います。

手術療法

保存療法を行って改善が見られない場合には、『手術療法』をおこないます。

手術療法でもちろん良くなりますが、

  • 重症であればあるほど、しびれが残りやすい
  • 痛みは改善されやすく、しびれは完全に取れないことが多い
    (これは『腰部脊柱管狭窄症』など他の神経に関する病気の手術であっても同様です)

ことは知っておかれるほうが良いと思います。

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『手根管症候群』に対するセルフケア

『手根管症候群』に対するセルフケアには、 『使いすぎる環境を変える』 ことは絶対に必要だと思います。

誤解を恐れずぶっちゃけて言いますと、

「使い過ぎの環境を変えないで治った人はいませんし、そのままなら加齢が進んで状況が余計悪くなるのにそのままで良くなるはずがありません。私は手術する時期がきたらさっさと切るからいい」

と思ってらっしゃる方はもちろん構いませんが、

  • 悪化を防ぎたい
  • 少しでも早くに努力して治したい

と思われている方であれば、真剣に環境を変える努力をされてみることをお勧めします。

そして、身体の筋肉の緊張が高い人は、何をするにも他の方より余計な力を使ってしまいます。
それが『腱鞘炎』を招くことになっています。

現に、『手根管症候群』やその原因となる手の『腱鞘炎』の方に
「肩こりありますか?」
と質問すると、ほとんどの方は『肩こり』があるとおっしゃいます。

手を使う元になる『肩や腕』が緊張していて、手だけリラックスするなんて都合のいい現象は機械ではありませんので人体ではまず起こりません!

『手根管症候群』を改善させるには、

  • 手や指に余計な力がかかる方は、その力みを改善させる練習
  • 力みなどで起こっている肩こりを解消することで手や指を同じ量使っても負担を減らすことができる

ので、遠回りに感じるかもしれませんが、そのようなところから地道にしっかりこなしていくことが必要だと考えます。

手根管症候群のしびれや痛みを簡単な体操で自分で治療する方法とは

 

おわりに

『手根管症候群』でも、

「しびれがうっすら出てきているように感じる」

という程度の軽いものや

「最近にしびれを感じるようになった」

というような、起こってあまり間もない状況であれば十分に改善は可能です。

『手根管症候群』かどうか自分でおおよそチェックできますので、その結果疑わしかったらまず

  • 手や指の使い過ぎの環境を改善する
  • 肩こり・首こりをしっかり解消する工夫をする
  • 筆圧が強い、なんでも無駄に力が入るという癖を直す

ことをコツコツ実践していくことをお勧めします。

そうすることで、少しでも『手術』をせずに改善させていける方が増えていただればうれしいと思います。

当サイトの記事をお読みいただきありがとうございます。
お身体に関するお悩み解消にお役に立てる情報が提供できていますと幸いです。

「自分の身体について直接相談したい」
「実際に自分にあったエクササイズを指導してほしい」
と思われた方は、こちらで直接診せていただくこともできます。

momentum 姿勢バランス研究所

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13 Responses to “指のしびれの原因が『手根管症候群』か自分でチェックする検査とは”

  1. とと より:

    約2カ月前に手根管症候群の手術をしました。

    1週間位前から、朝起きると中指から小指が痛くて曲げ伸ばし出来ません。ゆっくりと曲げ伸ばしをしてやっと動くようになります。圧迫感と指の付け根が痛いです。腱鞘炎のような症状です。時間がたてば治りますか?

    • tomokazu より:

      当サイトをご覧いただきありがとうございます

      術後しばらくは腫れがあったりして、そのような問題が起こることを関連付けて考えることもできなくはありませんが
      今回は期間がだいぶ経っておられるので別の腱鞘炎(ばね指)が生じていると考えるのが良いかもしれません。

      もともと手根管症候群になられていますし、手の屈筋群に問題がありばね指も起こりやすい状態ではあったと思われ
      それが今回のタイミングで出てきてしまったのでしょうか

      初期であれば、安静などの対応でうまく治まることが期待できますが手を使わざるをえないためなかなか難しいかとも思います。
      できれば根本的に手の酷使をする体質自体を改善するような治療・セルフケアはされた方がいいと思います。

      • とと より:

        暫く手を酷使しないように気を付けていましたが、最近は押すと第一関節、指の付け根、手のひらが痛いです。指の曲がりもよくありません。病院に行った方がいいでしょうか?

        • tomokazu より:

          当サイトをご覧いただきありがとうございます。

          『手根管症候群』は、神経障害のため
          ・触ったらそこがしびれているような痛いような感覚がある(感覚障害)
          ・じりじりと痛い感じはするけど実際そこを触ったり押さえたりするのが痛いわけではない(神経障害)
          のような痛みの出方をするものです。

          今回のおっしゃられている痛みは、直接押さえて痛いようですし、痛みの場所もはっきりされているようなので神経症状ではない可能性も考えられます。

          手を酷使しないようにされていた対応は間違っていないと思いますが、今後適切な対応をするためにはきちんと何が原因かを見極めておくことは有益だと考えます。
          今のままでははっきりしませんので不安なようであれば一度病院を受診されることをおすすめします。

          • とと より:

            有難うございました。

            受診する場合は何科に行けばいいでしょうか?

            手のひらも軽くこすっただけで痺れます。

          • tomokazu より:

            お話だけではますますわかりませんね。
            まずは整形外科を受診されるとよいでしょう。

  2. なお より:

    左手が全体的にしびれています。痺れの原因は頸椎だと言われています。

    2週間位前から、中指から小指が曲がりが悪くなりきちんと握れなくなってしまいました。第二関節から指の付け根の間を押すと痛みがあります。第一関節も力を入れると痛いです。腱鞘炎でしょうか?

    • tomokazu より:

      当サイトをご覧いただきありがとうございます

      お話の内容から推察しますと、腱鞘炎よりは頚椎由来の神経症状で『痛み』や『筋力低下』が起こっていると考える方が自然かと考えられます。

  3. なお より:

    頸椎の神経症状で、今回のような症状が出るとは思いませんでした。今後どのようにして過ごせばいいでしょうか?

    • tomokazu より:

      病院にもかかられているようなので、病院での治療等をされながらご自分でできることとすれば
      『とにかく肩首まわりのケアをすること』
      です。

      肩こり・首こり解消するような体操などをされることをお勧めします。
      http://ne-stra.jp/2145.html

  4. なお より:

    有難うございました。参考にさせていただきます。

  5. りん より:

    中指と薬指のないだのつけねのとこがいたいのですが、これは手根管症候群なのでしょうか?

    • 管理人 より:

      当サイトをご覧いただきましてありがとうございます

      痛いというそれだけではなんとも言えませんが、手根管症候群では比較的指先に感じやすいこともあり典型的な症状とは言えませんので他の可能性を考えながらも記事内のチェック方法をお試しくださいませ。

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