小指のしびれや痛みの原因は『肘部管症候群』かも?検査や治療について
肘部管症候群の徒手検査方法
『肘部管症候群』であるかを調べる検査には、
- 神経に負担をわざとかけてしびれなどの症状が出てきたり強くなるなどがあるかをみる
- 手根管症候群で障害されている神経(正中神経)がしびれや筋力低下がないか確認する
方法があります。
それらを順番にまずは、『肘部管症候群』であれば出るだろうというものをチェックするところからいきましょう!
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1、しびれ・痛み・感覚が鈍い場所の確認
「このあたりがしびれているなぁ~」
って思う場所をある程度特定してみましょう!
肘部管症候群であれば写真の色付きの範囲に問題がでているはずです。
実際、寝ているときに小指を含めた上の図の範囲に似たしびれが出た経験があります。
「尺骨神経障害が出てる・・?」
と直感で思い、寝ているときの姿を思い出すと確かに肘を下敷きにしていたような気がします。
実際しびれの範囲を確認してみると、小指は間違いなく感覚が鈍いことがはわかりますが薬指の半分がはっきりしませんでした。
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肘部管症候群ではしびれや感覚の鈍さを訴える方が多く日常生活で
「力が入りにくい」
とか何かができないなどの支障についてはあまり耳にしません。
『肘部管症候群』で障害されている『尺骨神経』は、
- 尺側手根屈筋
- 深指屈筋(薬指、小指)
- 短掌筋 ・虫様筋(薬指、小指)
- 背側骨間筋 (掌側、背側)
- 小指球筋(小指外転筋、短小指筋、小指対立筋)
- 母指内転筋
- 短母指屈筋
と、たくさんの筋肉が障害されますので力は入りにくくなっているはずですが、自覚に乏しいです。
もちろん、これらをひとつひとつ把握する必要はみなさんにありません。
「たくさんの筋肉の動きを担当している大事な神経なんだなぁ~」
くらいで思っていていただれば結構です。
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2、フローマン徴候(Froment sign)
『肘部管症候群』であればさきほど、示した 『手や指の筋肉』 がうまく動けなくなっているはずです。
それを確認するテストをいくつか紹介します。
- 紙を1枚用意して、指をまっすぐ伸ばして
ひっつけた状態の親指と人差し指に挟みます
- 親指と人差し指で挟んで紙を引き抜こうとします
- そのまま紙がぬけないように力がいれられたら正常
親指を曲げて紙を押さえようとする動作がでたら横に親指を動かす筋肉の筋力が低下していると判断し陽性とします。 - 反対側が正常であることを確認しておきましょう!
これに似た方法で、『薬指と小指』で紙を挟む 『ワルテンベルグ徴候(Wartenberg sign)』 があります。
3、クロスフィンガーテスト(cross finger test)
次は先ほどと違う筋肉の障害を確認する検査方法です。
- 中指と薬指を交差させます
上になる指を変えて行ってください
- しっかり交差できなかったときは交差する筋肉の筋力が低下していると判断し陽性とします
- 反対側が正常であることを確認しておきましょう!
筋肉が痩せているか確認する 先ほどまでのテストで、筋肉がうまく使えていないのが確認できたら、次はその程度を確認しないといけません。
- 筋力が低下する
→筋肉が力を発揮できない
→その状態が長引く
→ずっと力を発揮できないまま
→筋肉が痩せる
という風に進んでいって筋肉低下だけなら神経障害が改善されれば元通りに動かせるようになります。
しかし、筋肉が痩せてしまったら、
- 神経の障害の改善だけではなく
- 筋肉が元通りのサイズに戻らないといけない
ことになって問題は深刻になります。
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『筋肉が痩せている』かを見る方法を紹介します。
- 見る場所は手のひらの小指の付け根の部分(小指球)です
- 痩せているかどうかは『左右を比較して』確認すること
かならずその方の個性を考慮にいれて評価するためには『左右の比較』が必要です。 - 見てちょっとわかりにくかったら押し比べてみるのもいいでしょう!
筋肉のハリが違うことでも確認ができます。
4、フィンガーエスケープサイン(ワルテンベルグサイン)(finger escape sign)
『肘部管症候群』の方は、小指がうまく閉じられずに開いてしまっている徴候がみられることがあります。
もちろん、閉じる筋力が低下しているせいなのですが、自然な状態で開いているかを観察することで有益な情報を得られます。
尺骨神経を刺激して肘部管症候群かみる徒手検査
これまでは、『肘部管症候群』であったらこういう症状や仕草がでるというものを観察する方法で探ってきました。
ここからは、実際に障害されていると予想している『尺骨神経』に負担をかけて、神経症状が出ないかをみる検査方法です。
そのため、検査でするくらいならまだいいですが習慣的に同じことをしたりはしないように気を付けてください。
1、チネルサイン(Tinel sign)
『尺骨神経』のところを実際に刺激してみます。
神経が障害されているところは、過敏になっているためそのような刺激でも 『ビリッ!!』 とします。
しかし、ここは正常な人でも『ビリッ』と来ますのでその区別が非常に難しいです。
- 何か先の硬いものを用意します
医療従事者であれば『打鍵槌(だけんつい)』を用いるのが一般的です。
みなさんであれば、スマホ(携帯電話)の角を使うとちょうど良いと思います。
(角の尖り具合、硬さ、重量感をみてもなかなかいい線いっています)
- 肘部管部を叩いていき、『ビリッ』と電気が走ることを確認し、反対側の肘と比べます
反対よりも過敏であれば陽性とします。
2、肘屈曲テスト(elbow flexion test)
肘を大きく曲げると、『尺骨神経』が
- ギュッと圧迫され
- 神経の走行が急カーブする
ことでストレスがかかります。
そのように、『尺骨神経』に負担をかけて症状が出るかをみるテストです。
- 肘を曲げ、反対の腕で肘をしっかり曲げるように押さえます
- しばらくそのままの状態でいます(60秒目安)
- しびれが強くなったり症状が出たりすれば陽性とします。
- 反対側と比較して反対側には症状が出ないことを確認しておきます。
肘部管症候群の診断
『神経』にストレスをかけている原因が
- 『骨の変形』 によるものである場合は、 『X線(レントゲン)』でおおよそわかります。
これは、肘周辺を骨折したことがある方、骨折によって変形治癒している人などであれば起こりやすくなります。 - 肘部管部に『ガングリオン』や『腫瘍』などがある場合には、
『MRI』や『超音波(エコー)』
でわかります。
これらの検査でおおよその確定することができますが、最終的に『尺骨神経』に障害が起きているのかどうかを確認するには、 『電気生理学的検査』 を行う必要があります。
『電気生理学検査』では、 電気刺激を使って、実際に神経が信号を伝える速度を測ります。
神経が障害されているところでは、その速度が遅くなる結果が出ますので、『神経』を直接調べる検査として『肘部管症候群』では有用な検査になります。
肘部管症候群の治療
『肘部管症候群』の場合、基本的に手術以外の『保存療法』を行っても改善の見込みがほとんどなく、重症になってから『手術』を行うと、その後の回復が悪いなどの問題もあるため『手術療法』のタイミングを慎重にみていかないといけない疾患です。
しかし、軽症の場合はいきなり『手術療法』はおこなわず経過観察をします。
安静
『肘部管症候群』は、 『手や肘の使い過ぎ病』 と言っても過言ではありませんので、それ以上手や指を酷使することは悪化させてしまいますので避けなければいけません。
軽症であれば、『使い過ぎ』を控えることで悪化を防ぐことができる場合もあります。
注射
肘部管に 『ステロイド注射』 をすることで『炎症』を抑えることで『しびれ』が改善することがあります。
服薬
- 神経痛
- 末梢神経障害(肘部管症候群はこれにあたる)
に、『ビタミンB12』を処方されます。
副作用の心配がほとんどないことから
「とにかくこれ飲んでおいて」
と病院で処方されるお薬です。
これの効果については個人的にはまず劇的なものはないですし、良くなっても
「この薬の効果だったのか、自然によくなったのかどっちだろうな・・・」
って思うくらいの効果のものではないかと考えています。
リハビリテーション
病院でのリハビリテーションは
- 痛みを和らげる『電気治療』
- 筋肉に対するマッサージを中心とした『徒手療法』
- 筋肉のセルフケアを目的にした『ストレッチング指導』
などが挙げられると思います。
手術療法
『しびれ』のみでは『手術』をおこなうことはありません。
しかし、筋肉が痩せてきた場合は『保存療法』を行っても改善の見込みは少なく、『手術療法』が選択されることが多くなります。
手術療法でもちろん良くなりますが、
- 重症であればあるほど、しびれが残りやすいく、筋肉が回復しないため生活の支障が残りやすい
- 痛みは改善されやすく、しびれは完全に取れないことが多い
(これは『腰部脊柱管狭窄症』など他の神経に関する病気の手術であっても同様です)
ことは知っておかれるほうが良いと思います。
おわりに
『小指のしびれ』が出たときに『肘部管症候群』を疑ってみてみることは有益です。
もちろん、他の原因で『小指がしびれる』ことがありますし、それをきちんと自分で区別することは難しいかもしれません。
ただ、自分で確認して病態を知ることで不安は減りますし、それによってどのような行動を自分が取るべきかの判断材料にはなると思います。
そのような、みなさんの判断材料としてお役に立てたなら幸いです。
お身体に関するお悩み解消にお役に立てる情報が提供できていますと幸いです。
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