関節がゆるいとは?怪我や運動能力に関わるゆるさの評価方法を知ろう!
「関節がゆるいから怪我をしやすいと言われた」
一般的にスポーツパフォーマンスや健康面では。関節が幅広く動くことがいいとしてストレッチや柔軟体操を勧められます。
だから関節がやわらなく動くからいいと思っていたはずなのに『関節がゆるい』と言って良くないと言われたら
「それってどういうこと?」
と混乱してしまうかもしれません。
- 関節がやわらかい、柔軟性が高い
- 関節がゆるい
この2つは同じことのようで実際に言っている内容には大きな違いがあります。
今回は、その違いを知っていただくことで混乱した状況を整理していただければと思います。
関節のゆるさとはどういうことを言うの?
『関節のゆるさ』について実際にはっきりとした決まりはありませんが、このようなときに言われる『ゆるさ』については、
- 外傷(ケガ)によってなってしまったもの
- 外傷(ケガ)に関係なくもともとあるもの
と大きくわけて2つの状態に分けることができます。
ケガをきっかけに関節がゆるくなってしまう場合
関節は、決められた範囲の中で運動をするように造られています。
その範囲を越えると関節が傷んでしまいますので、決められた範囲を超えないように『靭帯』というバンドでとめられています。
その靭帯が『捻挫』や『脱臼』などのケガのときに傷ついたり切れてしまう場合があります。
すると本来、靭帯が止めている関節の余計な範囲の動きがうまく制限できなくなってしまうことがあります。
一番頻繁に起こるのは、
『足首の捻挫後の関節のゆるみ(不安定性)』
です。
- 捻挫後、適切な処置を受けなかった場合
- 捻挫を何度も繰り返している場合
に起こるものです。たまに、足をプランプランさせながら
「何回も捻挫してこっちの足首グラグラなんです」
なんて言うスポーツ選手がよくいますが、これが決していい状態ではないことは確かです。
こういった『足の関節のゆるみ』が起きてしまうと、
- 捻挫しやすくなる(再発リスク)
捻挫のたびに痛い思いをし、痛みで動けないためスポーツを中止しなくてはいけなくなります - パフォーマンスの低下
『関節のゆるみ』が出た関節は安定性が失われます。
踏ん張りを効かせたい時にグラッとしたり、
力をうまく足先に伝えることができなくなりパワーが落ちます。
よくある足の関節を例に説明していますが、
これが『膝のゆるみ』や『肩のゆるみ』など他の関節であっても同じです。
このような場合は、各関節のストレステストをします。
肩のゆるみの検査方法の例として、 『サルカス徴候(sulcus sign)』でみてみますと腕を下に引っ張ったときに、
肩の周囲に溝のような凹みが見られるかどうかをみます。
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このように身体の部分ごとに評価する方法がありますが、今回はざっくりと『関節のゆるさ』について考えていきたいので、それに向いた評価方法を紹介していきます。
ケガをした記憶がないのにゆるいもともとのタイプ
次は、怪我など関節がゆるむ原因がない場合にある『関節のゆるさ』についてみていきます。
その人の個性としてもともと持っている関節の柔らかさが、一般の人では通常起こらない関節の運動範囲まで大きくなっている状態を言います。
これを簡単に自分で評価する方法が2つありますので、ご紹介します。
カーター徴候(Carter徴候)
昔からよく使われている『全身関節弛緩性(関節のゆるみ)』を評価する
『カーター徴候(Carter C&Wilkinson Jの5徴候(1964))』をご紹介します。
下にある5つの動きのいくつができるかで関節のゆるさを評価します。
- 親指を手のひら側に曲げて腕まで親指が付くか?
- 指を反らせた時に腕と平行になるまで反るか?
- 肘をピンと伸ばした時まっすぐより更に反らせることができるか?
目安は15°以上反るか
- 膝をピンと伸ばした時10°以上反るか?
- 踵を床につけたまま、屈んで足首が45°以上曲がるか?
この5つのうち3つ以上当てはまった場合、 『関節はゆるい(全身性関節弛緩症)』と評価されます。
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ルースネステスト(looseness-test)
もうひとつの関節のゆるさを評価する方法として、
『ルースネステスト(looseness-test)』
があります。
別名『ジェネラル ジョイント ラキシティ:General joint laxity(hypermobility)』とも言います。
これは、『カーター徴候』と比べるとマイナーですが『カーター徴候』と重複する項目が含まれながらも検査項目が多いのが特徴です。
ちなみにlooseは、ルース?それともルーズ?
内容の前に余談から入らせていただきますと、
この『loose』を『ルーズ』と発音するのか『ルース』と発音するのか気になるところです。
ネットや本でも
『ルースネステスト』
『ルーズネステスト』
両方あります。
比較的『ルーズネステスト』と書かれている方が多いのですが、実は少数派の『ルース』が正解です。
『時間にルーズ』
『ルーズボール』
『ルーズリーフ』
など『loose』が『ルーズ』と一般的に発音されるからなのでしょうね。
いままで使っている言葉の発音まで変えることまでしなくてもいいと思います。
ただ、新しく知る言葉は正式な発音で覚えられるといいかもしれませんね。
・・と、では本題の
『ルースネステスト(looseness-test)』
に戻らせていただきます。
下にある7つの動きのいくつができるかで関節のゆるさを評価します。
- 親指を手のひら側に曲げて腕まで親指が付くか?
- 肘のピンと伸ばした時まっすぐより更に反らせることができるか?
目安は15°以上反るか
- 背中で腕組み(スクラッチ動作)ができるか?
- 膝を伸ばして身体を前に倒して手のひらが床にぺったり付くか?
- バレエダンサーのように、踵と膝をつけてつま先を真反対(180°)かそれ以上開くか?
- 膝をピンと伸ばした時10°以上反るか?
- 踵を床につけたまま、屈んで足首が45°以上曲がるか?
この7つのうち当てはまるのが多いほど関節はゆるいと評価されます。ただ、どこからがゆるいのかという明確な基準がなくて曖昧なようです。
参考に、靭帯損傷の起きたスポーツ選手ではスコアが高く平均3.7であったという報告があります。
ここから4以上は、『関節がゆるい』と言ってもよいのではないか考えます。
ただし、女子体操では3以上、女子水泳で4以上あるという報告もあります。
柔軟性が必須となるクラシックバレエなどでは、訓練によってこれらの動作のうち4つくらいはだいたいできるようになってしまいます。
そういう訓練で獲得した柔軟性もあるため、全部を横ならべに4以上が『関節がゆるい』とは言い切れません。
体のしなやかさとして訓練して得られる柔軟性というよりは、
『訓練しない状態でこれらが起きるのは一般的でないから注意しましょう!』
という感覚でとらえるのが正しいのではないかと思います。
あくまでも目安として使っていただければよいと考えます。
お身体に関するお悩み解消にお役に立てる情報が提供できていますと幸いです。
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と思われた方は、こちらで直接診せていただくこともできます。
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カーター徴候は5つのうち3つ当てはまりましたが、ルースネステストは…7つのうち6つが当てはまります。
指以外の項目すべてです。
50過ぎの現在に至るまで 特に運動などしたこともありません。ピアノ弾きです。
数年前より両方の肩が抜けそうな感じがして 痛みが続くこともよくあり、時々整形外科で肩に痛み止めの注射を打ってもらっていました。
最近では、これ以上酷くなるようなら手術を… とも言われています。
ゆるいのは肩だけと思っていたら、全身ゆるいようです(汗)。どーしましょ〜!
当サイトをご覧いただきありがとうございます
一般的にはこれからの年齢に進むにつれ弛緩性は収まってくる傾向がありますのでなんとか経過をみていけるならその方がよいのではないかと考えます。
その間、筋トレなどの保存療法を進めて少しでも改善を図っていかれることをお勧めいたします。
ピラティスやってもなんの効果もないですねー。
わたしも緩くて困っています。
当サイトをご覧いただきありがとうございます
ピラティスで得られる効果とまこさんが求められているものとがあわなかったのかもしれませんね。
角度はわからないので出来ませんでしたが、(180°はわかるのでやりました。)殆どあてはまりました。。。
両足首、両膝、両肩、両肘、股関節、首、顎が緩いのですが(動かすとガクガクする、抜けて痛い(脱臼まではいかない。))オススメの病院等ありますか?
当サイトをご覧いただきありがとうございます
お力になれればと思うのですが、ご紹介できる病院がなさそうです。
病院に行けれる際には、関節がゆるいだけではあまりとりあってもらえません。そのゆるさで何か痛みやつらさを経験されていることが病院では必要になります。
その点だけ知っておいていただいて受診されることをお勧めいたします。