踵の脂肪のクッションが弱って踵が痛む『有痛性脂肪褥』
立ったり歩いたりすると踵に痛みがあることに気づくことがあります。
痛い場所は、踵の内側や底にあたる部分などでネットで調べてみると
- 足底腱膜炎
- アキレス腱症
などが有名で、その時に起こる場所と比べてみてもなんかそれとは微妙に場所が違うことがあります。
病院に行った場合に、レントゲンで踵の骨に棘のような尖った像がみられることがあって
「これが踵の痛みになっているんじゃありませんか?」
と言われてもやっぱりそれとは場所が違う気が・・
と思っている方はもしかすると
『有痛性脂肪褥(ゆうつうせいしぼうじょく)』
かもしれません。
今回は、有痛性脂肪褥の病態や原因、対処方法などを紹介していきたいと思います。
踵にある脂肪のクッションに問題が起こっている?
まずは、最初に踵をじっくり触ってみましょう!
踵なんて、冬場のかさつきが気になるくらいであとはそんなに意識して触ったことがある方はまずいないでしょう。
よく触ってみるとカサカサしているかどうかは別にしても、グニュグニュしていることに気が付くはず。
これは踵の骨を触っているつもりでも底側には脂肪組織がついていて直接骨を触っているわけではありません。
靴(シューズ)をみてみると踵は高さがあり中にはクッションがついているタイプもあるくらいで、この役割を自前の身体でしているのがこの脂肪組織なのです。
歩いたり走ったりするとき、体重が踵に強くかかります。
そのまま固い骨の部分でその衝撃を受けていたらいくら骨が固くても壊れてしまいますし、踵からの衝撃が全身に伝わって膝や股関節などを傷めてしまいかねません。
その衝撃吸収をするクッション的な役割をしてくれているのがこの脂肪組織ですが、この組織が
- 加齢によって薄くなってクッション機能が落ちてくる
- 体重のかかり方が一部分に集中していることで吸収しきれない
ようになって痛みが起こってしまうことがあります。
それを『有痛性脂肪褥』と呼びます。
痛みの場所や症状を確認してみよう
有痛性脂肪褥で痛みが起こりやすいのは、
- 体重がより強くかかっている部分
- 脂肪組織と踵の骨のつなぎ目
あたりになります。
特によくあるのは踵の内側の骨と脂肪組織のつなぎ目の場所ですが、踵の硬い骨の部分から
下におろしていって柔らかい組織に変わる境をギュッと押してみるとよいでしょう。
特に痛みがそのあたりに出ているはずです。
もしくは、踵の底にある脂肪組織を指でつまんで動かしてみてください。
人によってはこれがグラグラ反対の足より動きが大きくなっている場合もあります。
踵の痛みの基本的な治療・対処方法は?
この踵の痛みは、病院でも特に治療方法がありません。
そのため、
- 特に診断名がつけられなかったり
- 違うことが原因だといわれてしまったり
- 有痛性脂肪褥とついても特に処置がなかったり
するため結局自分で対処することが求められるケースが非常に多いです。
基本的には、その踵にかかる負担を
- 全体的に軽減する
- 痛い部分に集中している可能性があるのでそれを分散する
などの対処をしていく必要があります。
踵のクッション性能をサポートするグッズを使って負担を減らしてみよう
踵の柔らかいクッション材が弱っているならそれを人工的に付け足してやればよいでしょう。
そのためには
- サポーターのように履くタイプのクッション
- 靴の中に敷くようにするタイプのクッション
を挿れてみるのもひとつです。
ただし、これらを入れてもさほど実感として楽にならないことが多いため
「使ってみたけど効果なかった」
と言われる方ばかりです。
魔法のように痛みがすぐなくなる処置はなかなかありませんのでこういう地道なアプローチをしていくことが必要になります。
踵のクッションをサポートするテーピングの方法
踵にテーピングをすることで痛みが緩和されることが期待できます。
まずは、薄くなってしまった脂肪組織を集めて厚みを作るテーピングです。
- ホワイトテープの25mmを用意します。
- 踵のまわりにアンカーテープを貼り付けましょう!
- 脂肪を寄せ集めるように押さえながら間を順番にテープで埋めていきます。
- 最後に外側のアンカーテープをもう一度して終わりです。
これは正直面倒ですが、痛い部分の組織が厚くなることで痛みが結構和らぐことが期待できます。
もうひとつは、簡単に痛みがある側に組織を寄せるテープになります。
- キネシオテープ25mmを用意します。
- 痛くない側に端をくっつけテープを引っ張って踵の脂肪も一緒に引っ張って貼ります。
- それを2,3本ずらして行ったら完成です。
これは内側や外側のどちらかが特に痛い場合に有効な方法になります。
踵にかかる体重の負担を軽減していくことも大切
このような踵の痛みは、脂肪のクッションが衰えてきたことによって起こるように言われていますが、それはあくまでも要因のひとつです。
加齢によって起こりやすいとはいえ必ずなるものでもありません。
その弱くなったときに体重をかけるバランスが偏ったりすることでとどめを刺すと理解されるとよいでしょう。
そこで、よくあるパターンを2つほど紹介しておきます。
- 膝が曲がったバランスになっている
膝を傷めたりして膝が軽く曲がってしまい、足首もやや曲がり気味になり踵の内側の体重がかかりやすくなる
- 全体に後方重心になってきている
猫背などで上半身の重心が後ろに下がったりすることで全体的に踵に体重が乗りやすくなってしまう
これ以外にもいろいろパターンはありますが、自分が痛いと思う部分にまず体重を普段からよくかけてしまっていないか?
それに気づいていくことがこのような踵の痛みを改善させるためには1番大切になってきます。
それに気づけば、今度はどうすれば体重がかかりにくくなるか?バランスを変えられるか?を自分で発見していくことも可能になります。
それができるのが痛みを解消するには1番の近道になります。
もちろんそれらを専門家に診てもらうというのもありですが、自分でなんとか気づいていけるようにするほうがいいでしょう。
おわりに
踵の内側や底側が痛い!となってネットでいろいろ調べても踵まわりの疾患で自分の痛みと一致しないものばかりの方はこれの可能性が高いです。
これは、画像ではっきりわかるわけではありませんので、病院に行ってもはっきりしないことが多いのに案外悩んでいる方は多いものです。
今回紹介したケアを実践することで改善していくことは十分可能ですので自分の症状をじっくりみてみてください。
特に踵は東洋医学では腰・骨盤と関係する場所と言われていますし、身体のバランスとしても腰・骨盤まわりに問題があると踵が痛くなることがよくあります。
もし、踵も痛いし腰痛もある・・という方であればしっかり腹筋を鍛えて腰痛を改善していけばなぜか一緒に踵の痛みも消えたりする、なんてことが十分に期待できますので踵のことは気になりますが、それだけにとらわれず全体からよくしていくように頑張ってみましょう!
それが意外に改善への近道だったりします。
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