膝に水が溜まったら抜く?抜かない?選ぶときに気を付けること
膝の痛みが気になっていて治療院や病院に行くと
「膝に炎症が起こって水が溜まってますね~」
と言われ、左右の膝を見比べると確かに腫れぼったい状態になっていることに気づくことがよくあります。
こういうとき、病院で比較的多いのが
「じゃあ、注射で水を抜いてその代わりに潤滑剤になるヒアルロン酸注射しましょう!」
と提案されることがあります。
それで治るんなら・・とその通りにされるのももちろんいいんですが、
「水が溜まっているのは抜かないと治らないの?」
「水を抜くとまた溜まって(再発しやすくて)何回も抜くことになるって聞いたことあるけど・・」
「他に水が引いてくれるようにする方法はないの?」
など、疑問が浮かんできてなんか心がモヤモヤ・・素直に従う気になれないという方もいらっしゃると思います。
そこで、今回は膝に水が溜まっていて膝は痛いし曲げ伸ばしはしにくい、それをなんとかしたい方に知っておいてもらいたいことを紹介していきます。
水は溜まっているんじゃなくて、溜まってくれている!?
膝に水が溜まって腫れるのは、膝関節に何かしら問題が起こって炎症が起きることによって引き起こされています。
スポーツや事故、転んだりなどで膝を捻ったりぶつけたりなどをすることをきっかけに起こります。
年齢を重ねておられる方の中には、特にケガなど思い当たらないのに慢性的な膝の痛みがあってそこから腫れてくるということもあります。
これらはきっかけは様々ですが、関節にかかっている負担に対する身体の生理的な反応なので、
「関節が傷むなり何かしらの問題があるのはわかったからもう腫れないでいいよ、負担かけないように気を付けるし」
といくら強く思ったところで、身体は言うことを聞いてくれません。
そのため、
- ケガなどで傷めた場合には一定期間経てば自然にひいていく
もともとは関節は正常であったけど、瞬間的に負担がかかって組織が傷んでしまいそれによって腫れています。
そのため、その組織の修復が進むにつれて関節が元通りになっていき腫れる必要がなくなるため時間経過にあわせてひいていきます。 - 慢性的な膝の痛みの場合には個人差が激しく、いつまで経ってもひかないこともあり得る
慢性的な膝の痛みのある方は、『変形性膝関節症』が起こっていて関節や軟骨が傷んですでに正常でない状態や、O脚や筋力低下やバランスの悪さなどから膝にかかる負担が常に強い状態になってしまっていることで膝の問題が時間経過ではいつまでも解決していかないためずっと腫れることがある
身体は、その問題がきちんと解決していくことを確認するまでは腫れた状態を続けようとします。
腫れて水が溜まるのは、生理的な反応ではありますが、
- 関節内の軟骨や骨などの組織への摩擦やぶつかるストレスを減らしている
- たくさん動くと負担になるので動きがあまりできないようにして負担を減らしている
と、関節が修復するために必要なことをしてくれているため、
『水を溜めてくれることで関節を守ってくれている』
と解釈することができます。
もちろん、理由もなく水が勝手に溜まり続けることはなく、関節の環境が良くなるのにあわせて自然に水はひいていくものです。
水を抜いてもまた溜まりやすくなる理由は?
とは言っても、水が溜まることで膝の曲げ伸ばしのしづらさや痛みが起こっていることも事実です。
水を抜くことで痛みは完全に改善はしなくても動かしづらさは大きく改善されることが期待できます。
その一方で、水を抜くことはクセになりやすい、抜いてもすぐに再発する、などの評判を耳にすることも
水を抜いてもまた溜まりやすいのは、膝関節が水を抜いた状態でもなんとかやっていけるくらいの傷みや負担のかかり具合であれば溜まりません。
しかし、そもそも水を溜めてでも関節を守りたいと判断している現状なので、水を抜かれた身体は
「膝関節にまた負担がかかってきているから反応しちゃうよー」
って感じで、生理的に水を改めて作り出していくことになります。
水を抜くことは対症療法として行っているものであって水を溜めなくてはいけない根本原因を取り除いているわけではありません。
原因が残っていればまた溜まるのは当然ということですから、再発を経験される方が多いのは当然なのでしょう。
こういう事情があることから、最近では水を抜くだけではなくてその後に関節への負担を減らす潤滑剤の役割としてヒアルロン酸を注射することで関節を保護しようというやり方が出てきています。
溜まった水を抜く?抜かない?その見極めをするポイントは
水が溜まった場合、病院ではそこそこの程度溜まっていれば抜いてヒアルロン酸注射をすることを提案される可能性が高くなります。
その理由は
- 膝が動かしやすく楽になり満足してもらいやすい
- 病院として収益があがる
というが挙げられます。
病院としては患者さんに感謝されるのならやろうかな、ってなりやすいですね。
もちろんそれはそれで治療ですから悪いわけではありませんが、水を抜く必要性・抜かないでいけるのか?などきちんと説明して選択させてほしいなとは思うものです。
そこで、水を抜く、抜かない、を決めるポイントを紹介します。
- 抜くことがお勧めの状況
じっとしていてもパンパンに腫れている膝が疼いて傷んで寝ていても痛みで起こされるくらいでとてもつらい、膝の曲げ伸ばしができないことの不便が耐えられない方、多少関節に負担がかかることや再発も覚悟できる方 - 抜かないことがお勧めの状況
自分でじっくりよくしていくことができるならしたいと思う方、今の痛み・不便さをなんとか我慢していける方、根本的に膝関節によくないこの環境をじっくり向き合って改善していきたい方
これを見比べると
「じゃあ、まずは水を抜いてから関節にかけていた負担などの環境を改善する努力をコツコツすればいいんでしょ?それが最善じゃない?」
と思われるかもしれませんが、水を抜いて楽になったらそれだけ動こうとしますし、環境の改善なんて面倒なこと
『熱さ喉元を過ぎれば』
というようにすっかり忘れてしまい負担をかける生活習慣・筋肉バランスは変えられないまま
これは、自転車操業の会社のように負の遺産を将来へ繰り上げているだけなので余計なお世話かもしれませんがそこをしっかり自覚されておくことをお勧めします。
数年後にもっと膝の関節が悪くなってどうにもなくなったときに
「あのときもっと膝の状態ときちんと向き合っていたらこんなつらい思いをせずに済んだのに・・」
と後悔されないためにも、安易に水を抜くのではなくきちんと水が溜まってしまった今の自分と向き合うことをおすすめします。
水は抜かない!と決めたらまずしないといけない基本的なこと
「いろいろ考えたけど、やっぱり水を抜かないでも自然に引いていくことが期待できるなら抜かないでいきたいな」
と思われた方は、苦難の道のりを選ばれたと思いますがその想いをきちんと結果に変えられるようにしていきましょう。
そのために必要なこと、気を付けたことがいいことを順番に紹介していきます。
膝がどれくらい腫れぼったいのか?
まず最初に左右の膝を比べてどれくらい膝が腫れぼったいのか確認しておきましょう!
もし可能なら膝まわりを巻き尺で測っておいてもよいでしょう
これは、これから膝がよくなっていくのを確認するためです。
水が引いてくるのは結構時間が必要になります。
少しずつ変化が出ますのでその間に意欲がなくなってしまうこともよくあります。
そこで、やる気を保つために最初はどうだったのか?そこから少しだけど変化があるな、などと経過を自分で確認して評価していくことが意外に大切になります。
特に、気を付けておきたいのは膝のお皿のやや内側のところです。
ここの腫れぼったさがいつまでもなくなりませんがここまできちんとすっきりしてくるまでは無理はしないことが大切です。
「お皿の内側がちょっと腫れぼったいの残っているけどこれくらいまぁいっか・・」
とそこで無理をしてしまうと元の木阿弥になって腫れてしまうことが多いです。
膝の内側は特にきっちりと観察しておきましょう。 スポンサーリンク
痛む動作への対応
実際に自分は何をすればいいのか?ですが、大原則は『痛いこと、違和感のあることはしない、避ける』ことです。
例えば、
- 立ったり歩いたりも最初は痛いはずなので最小限に減らす
- 寝るときには、膝裏にクッションを入れる
- 座り方はなるべく椅子を使う
などです。
「ちょっとくらいは違和感・痛みがあってもできるし、動かさないと固まってしまうからほぐすくらいにやっておいたほうがいいんじゃないか」
と考えて動かす方がいますが、痛くない動きは存分にしていただいて結構ですが痛いものをそのように考えてはいけません!
曲がってしまう膝をまっすぐ伸ばすためには
動かしてはいけない!と言われても、自然に曲がってしまっているこの膝が曲がったままになるんじゃないかと心配になるかもしれません。
そこで、足を伸ばしているときに曲がるのが気になって無理に伸ばす方がいますがこれもしてはいけません。
膝が軽く曲がるのは膝関節が少し曲がっているのが関節にとって負担が少ないためです。
身体が少しでも膝に良いことをしようと今はしているのですからそれを邪魔するようなことをしてはいけません。
心配しなくても膝関節の状態が良くなれば自然に水が引いて少しずつ膝は元通り伸ばすことができるようになってきます。
自然にそのように変化してくるのをじっと待ちましょう。
足首・股関節からアプローチ
膝関節の状態をよくしたい!という気持ちから、膝をどうにかこうにか動かそうと努力する方が多いです。
しかし、膝は今動かすと負担がかかるから動かないようにしてくれているわけですからその身体が言っていることをしっかり聴きましょう。
それに従って膝関節は最初は動かさなくてもきちんと改善のためにできることはあります。
それは、膝を動かす筋肉の環境をよくするために、足首や股関節を
- 足首の上下、足首まわし
- 股関節の曲げ伸ばし、股関節まわし
などでしっかり動かすことです。
その中でも膝に響くものもありますので、それは避けてできることだけしていきます。
そして、反対側の膝に関しては問題がありませんので存分に曲げ伸ばしを訓練しておいて構いません。
少しずつやっていればこれも痛みが出ないでできることがどんどん増えていきますからそれにあわせてやることを増やします。
そして、最終的には
- 貧乏ゆすり
- 膝ぶらぶらゆすり
などをしていくのもよいでしょう。
湿布や痛み止めを使うときの注意点
痛いときには、病院に行けば湿布や痛み止めを処方してもらえます。
痛みがつらいときにはもちろん使用していただきたいのですが、
『薬が効いて痛みが減っているのは痛みがなくなっているのではない』
ということを十分注意しておくことが大切です。
薬を飲んだり湿布を貼れば、痛みが減ってできる動きが増えます。
それは、治ってきてできるようになっているのではなくて、
『痛みの信号を薬効成分で自分が感じないようにしているだけでなくなっているわけではない』
わけで、そこで普段以上に動かすと後で薬が切れてからしっぺ返しがやってきてさらに腫れたりします。
そのため、自分ができる動き、してはいけない動きを確認するときには薬が効いていない状態で必ず行う必要があります。
よくいらっしゃる治りの悪い方の例としては
- 湿布を1日中貼って、痛みを抑えた分動いている
- 痛み止めの薬を飲んで外出する
などを頻繁にしている方ほど、長期化してなかなか良くなりませんので十分注意してこれらの薬は使うようにしましょう。
おわりに
膝関節に水が溜まってしまったとき、多くの病院では水を抜いてヒアルロン酸を入れることを勧められます。
これに関しては、まずその方法しかないということもなく自然に治っていくようにすることも可能だということを知ってください。
そのうえでご自分の膝の状態を考えて自分にとってどのような選択をするのがよいのか?決めていきましょう。
そして、
- 水を抜くと決めた
→水が抜けたら終わりではなく、再発予防のため水が溜まるくらい悪い膝の状態を改善するケアはする - 水を抜かない
→思っているよりは長期戦になることが多いです。身体の教えをしっかり確認しながら焦らず一歩ずつよくなる方向へ進めていきましょう!
ことを注意して対応していきましょう!
どちらを選択しても、そもそも膝関節に水を溜める必要が出るくらい関節が傷んでしまっていることには変わりありません。
そのことをしっかり自覚して、水がひくことだけに気を取られずに自分の膝がこれから先もいい状態でいけるようにするために積極的なケアを進めていっていただればと考えます。
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