脚の付け根が動かすと音が鳴るのは股関節にひっかかる『弾発股』とは!

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痛めるような負担をかけることがあったわけでもないのにいつからか、
「脚を挙げるときなどにコキッ、コキッと音が鳴る」
反対側は同じように動かしてもなんともないのに片側だけ動かすと必ず音が鳴るようになって気になることがあります。

股関節を動かすと音が鳴る原因がわからないと、このまま様子をみていていいのかもわからなくて不安になってしまうかもしれません。

脚の運動にあわせて足の付け根まわりで音が鳴るのをまとめて
『弾発股(だんぱつこ:snapping hip)』
と呼ばれますが、今感じられている音の鳴る場所や音が出る動きなどからその原因は異なります。

今回は『弾発股』についてその病態や治療などを紹介していきたいと思います。

 

足の付け根で音が鳴る原因によってタイプ分けして整理する

股関節の動きで足の付け根まわりで音がなる場合、その音が鳴っている場所が股関節の

  • 関節の外の筋肉や腱と骨の間で起こっているのか(関節外型)
  • 関節内の軟骨や骨の間で起こっているのか(関節内型)

の2つに大きく分けられます。

1.関節の外で起こっているタイプ

股関節の近くで脚を動かす時に働く筋肉やその腱などが骨のでっぱり部分などに引っかかってパチンと弾かれるような音が鳴るケースです。

音が鳴る原因の筋肉によって更にタイプが分かれます。

  • 腸脛靭帯・大殿筋の前縁がひっかかる場合
    →外側型
  • 腸腰筋がひっかかる場合
    →内側型
  • 大殿筋下縁・大腿二頭筋がひっかかる場合
    →後方型

があります。

これらの筋肉がひっかかる場所によっておおよそタイプが見極められるのではないかと考えます。

このようなことは身体の他の部分でも

  • 膝の曲げ伸ばしで膝の外側で腸脛靭帯と大腿骨が擦れて炎症が起こる『腸脛靭帯炎』(これは音は出ません)
  • しゃがんだときに足首の外側で腓骨筋腱が外くるぶしに引っかかって弾かれる『腓骨筋腱脱臼』(音が出る場合があります)

など似たようにでっぱり部分にひっかかって起こる疾患がありますが、その原因によって

  • リハビリや治療などを通して自然に治ることが期待できるもの
  • 手術をしない限り治ることは基本的に期待できないもの

があります。

今回の弾発股の関節外型については、おおよそ手術しないでも改善していくことを基本として考えていけるタイプになります。

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2.関節の内で起こっているタイプ

股関節内で軟骨や骨や衝突したり引っかかったりすることによってコキッと音が鳴るケースです。

位置としては、さきほどの関節外型の内側型と近いのでわかりにくいかもしれませんが、股関節の曲がるところあたりで音を感じるでしょう。

この音が鳴る原因にはいろいろありますが、主だったものには

  • 軟骨(関節唇)に問題が起こっている
    損傷や断裂、遊離体、軟骨組織の異常
  • 関節の位置関係に問題が起こっている
    亜脱臼することで関節面の不適合が起こってひっかかったりぶつかったりしてしまう

などがあります。

これには、音が鳴らないですが『股関節インピンジメント症候群』なども起こっている病態としては同じようなものと考えてもよいと思われます。

 

音が鳴る動きと場所を総合して判断する

おおよそどのタイプでも股関節を内転・内旋というポジションでの曲げ伸ばしで音が鳴りやすくなります。

音が実際なる方は、どの動きのどのタイミングで鳴るのかほとんどの方はわかっていますのでそれを再現しながら確認していきます。

また一緒に股関節のこの弾発減少が起こりやすいポジションに股関節を動かす時の動きの範囲(可動域)を左右で比較しておくと有益な情報が得られます。

  • 音が鳴る方が動かせる範囲が狭い
    股関節内での組織の衝突や関節に構造的に問題が起こっている可能性がある=少し問題が深刻かも?という黄色信号
  • 左右で差がないか、あっても大きな差でない
    はっきりパッと見てわかるほどでなければ左右差なしと判定しましょう=問題は軽症・初期かも?ととらえてもよいかも

 

音を鳴らすのは止めた方がいいのか、鳴るものは仕方がないと思っていいのか?

基本的には、鳴ってしまうものは仕方がありませんので、自分から進んで鳴らすのは避けておくとよいかもしれません。

ただ、鳴ってしまったら鳴ってしまったときと思いそこまで神経質に考えないことをお勧めします。

この音については、音に伴って違和感や痛みが伴うケースがありますが、それらがある場合には鳴らすことに注意をしておく必要があることは間違いありません。

ただし、弾発股の多くは音だけの方が多いので過剰に心配はせず、そういった感覚があれば無理しないことを心がけてください。

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弾発股の診断と治療

弾発股では、関節の外の筋肉に起こっているものはレントゲン・CTなどで変化をみてとることはできません。

だからといってMRIを撮るということもしないことが多く、弾発現象を起こしている場所を触っていて、その弾けるのを触診できる場合には確認をもってその症状から診断されることになるでしょう。

関節内型の場合には、

  • レントゲン・CTで骨に問題が起こっていることが確認できる
  • MRIで軟骨(関節唇)の損傷などの問題が確認できる

など画像診断による確定診断がされることがあります。

その場合には、弾発股という病名だけでなく、画像所見で得られた病態をプラスされた疾患名になると思われます。
(例:股関節唇損傷などの病名がつく)

治療は原則として、手術ではない保存療法を行います。

  • 安静・負担のかかる動作・運動の制限
    ちょっと鳴らしたくらいで大問題になることはありませんが、なるべく鳴らさないように鳴る動作を控えるように指導されることになります。
  • 運動療法
    ストレッチや筋力トレーニングなどのリハビリを行います。
  • 注射
    炎症が起こっていたりする場合には、局所麻酔やステロイド注射をする場合もあります。

などをおこなっていきます。

すでに弾発現象によって痛みが伴って、スポーツや生活に支障があって保存療法でも改善が見込まれない場合には手術療法が検討されます。

 

弾発股のリハビリの基本は股関節まわりの筋肉バランスをとること

弾発股はちょっとリハビリをしたからといってすぐに音が鳴らなくなるということは期待できません。

しかし、股関節の動きが正常にできるように筋肉バランスを整えたり、股関節の使い方を訓練したりすることで改善していくことは十分期待できます。

特に外側型や画像で問題が起こっていなければなおさらです。

そのような軽症の間にきちんと股関節の部分に負担をかけてしまうような使い方を見直していくことは、今後の股関節疾患への有効な予防になります。

それらのリハビリに使える訓練方法についてはこちらをお読みください。

「肩こり・首こりになりやすいストレートネックの原因を知って正しく解決」

 

おわりに

股関節を動かすと足の付け根がパチン、パチン鳴るとどうしても気になって鳴らしてしまいます。

しかも、それを鳴らしちゃだめ!なんて言われたら余計鳴らしたくなってしまうかもしれません。

実際にちょっとくらい鳴らしても急激に悪化するようなことはまずありません。

問題を起こすのも、日々の小さなストレスの積み重ねによって起こりますので、すこしずつ鳴らすのを減らしていけばいいです。

それよりは、股関節まわりの筋肉バランスなどが病的とまではいかなくてもバランスを崩している可能性があることを音が鳴ることから推測できます。

そんな股関節のアンバランスを放置しておくことの方が後々に大きな問題を生んでしまう可能性もあります。

そうならないようにこれを機に緩やかにでもご自分の身体の(股関節の)状態に関心を持ってケアしていただければと思います。

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