肩関節の動きが悪いのは痛める前のサイン!?早く気づくためのセルフチェック法とは
肩に痛みがある方や、以前に肩を痛めたことのある方を診ていて
「肩の動きが狭くなっているとか、気になる動きはありますか?」
と聞いてもほとんどの方は、特に気にならない、動きが悪くなっていると感じていない、という答えが返ってきます。
しかし、実際にそういう方々の動きを評価してみると、肩関節の動きが悪くなっているのが見つかることがよくあります。
肩関節の動きの範囲はもともと広くて、それが多少狭くなっていても痛みがあったり日常生活に問題がなければ意外に気付かないで過ごしてしまいがちです。
ただし、動きが狭くなっているということは
- 何かしら問題が起こる前兆である
- 運動機能が下がっているのは間違いない
- 痛めた後のリハビリを終わるには早い時期だった
などが考えられます。
ここで、動きが悪いなら悪いとまずは正しく自分の身体の状態に気づいておくことがとても重要です。
正しく把握していれば
- 肩を使うときに無理をしないように気を付けたり
- リハビリをもう1度おこなうように考えなおしたり
して、結果として辛い目をみるような将来からは距離がおけそうですが、認識と実際のずれを放っておくと、なにかしら辛い目をみる将来の種が植えられている状態。
痛めてからの対処は後手後手にまわりますので、苦痛も改善にかける時間や費用も多くかかりがちで、完全に傷める前には戻れないという始末。
そうならないために、まず自分の肩関節の状態についてきちんと把握してみましょう。
肩関節の左右の差を評価するときのポイント
肩関節の動きの悪さはきちんと診ないと悪くなっていても意外と気付かないものです。
これは若かったり、スポーツ選手だったらわかるとか、歳をとっていたり、運動をしていない人はわからないというのはあまりありません。
そのため、適当に腕を挙げたりグルグル回してみても気づきませんので、きちんと気づくための評価のポイントを紹介します。
1.腕を挙げるときのスピード
できれば姿見の鏡などでチェックするのがよいでしょう。
無理ならスマホをおいて動画を撮ってチェックしても構いません。
まずは両腕を横からゆっくり挙げてみます。このとき、ほとんどの方は左右の挙げるスピードや角度に微妙な違いがあるものです。
観察して左右の差についてみてみましょう。
(1番はっきり差が出るのは鏡のないところでやって誰かに診てもらう方法ですがまずは自分でする方法を紹介します)
ゆっくり挙げると挙がる速度や挙げているときの腕の重さの感覚などの違いがよくわかります。
この場合では、肩関節の機能が悪くなっている側が腕が重くて挙がる速度が反対に比べて遅れがちになります。
2.腕を挙げきったときの左右差
腕をしっかりと挙げきりましたら、左右の挙がり具合の差をチェックしていきます。
このときのチェックのポイントは
- 顔の横側と腕の間にある隙間
- 肘の曲がり
をまずは見てみましょう。
すると、そこに実は大きな差があることに気づくことができます。
3.スクラッチ動作
次は背中で手を組む動きをしていきます。
これは組める方が普通というわけではありません。
逆に組める方は一般からみて関節が柔らかい方だと評価していいでしょう。
両方つかめない方は難しいかもしれませんが、感覚で感じるか誰かに写真を撮ってもらうと差がわかりやすいでしょう。
多少は差があるものですがその差が大きくないか自分にはどれくらい差があるか知っておくことは有益です。
4.左右の動きの評価
肩の内外(左右)方向の動きについてみてみます。
これも普通にストレッチなどで動きはしたりされるかもしれませんが、自分ではその差をはっきり自覚しにくいです。
そこで、次のような動きで試してみられるともう少しはわかりやすいかもしれません。
- 腕を内側にもってきた状態でうつ伏せに寝ます。
- もし寝るだけでわかりにくい場合には両膝を曲げて足を倒します。
このときの足の倒れ具合や肩の筋肉の伸び具合で比較してみましょう。
もうひとつの動作は逆の外側の動きです。
- 壁や床に指先から腕の付け根までピタッとつけます。
- 反対の手で壁(もしくは床)を押し上げて反対の肩がどれくらい浮くかみてみるとよいでしょう。
5、肩の捻じれの動作の評価
次は肩の捻じれの動きを伴った動きで診ていきます。
基本は、背中を掻く動作を左右行って比較してみたりします。
しかし、それじゃ見えないしわかりにくい、他の動きで左右の差をみてみたい、という場合に使ってください。
- 両手の甲をウエストにあてます。
- 手の甲がウエストから離れないように注意しながら肘を閉じていきます。
いまのは内捻じれの差をみました。
次は外捻じれの差をみていきます。
- 腕をまっすぐ前に伸ばし、肘を直角に曲げます。
- 指先が外に行くようにして動かします。
このとき肘の位置が変わらないように注意してください。
左右両方が悪くなっているかもしれないケース
これまで、肩の左右を比較して動きが悪くなっているところがないかチェックしてきましたが
「もしかして、両肩とも動きが狭くなっているから余計に気づかないのかも?」
と思われる方もいらっしゃることでしょう。
そこで、1番気づいてないことがよくあるものについてみていきたいと思います。
腕を挙げたときの角度を横からみてみる
先ほど腕を挙げた状態で左右を評価しましたが、その状態で身体を横に向けて鏡で見てください。
腕はまっすぐ天井に向かって挙がっているのが原則になります。
それに比べてどのくらい挙がっていないのかチェックしてみるとよいでしょう。
肩の動きが悪いことに気づいたら・・
これまでのチェックで多少の差があるというくらいであればまだ許容範囲としてもよいのかもしれませんが、それでも自分の弱い側が分かっただけでも収穫ありです。
その中で、パッと見て違いが分かるくらいの差があるという場合には、その差を縮めていくアプローチをしていくことが大切です。
このときに1点注意していただきたい大切なことがあって
「動きが悪いところが見つかったから、それをガンガン動かしていけばいいんですね!」
と無理やり動かし始めるのはちょっと待っていただければと思います。
肩関節の動きをよくするためにはまず肩甲骨・背骨まわりの動きを確保していくことが準備としてしないといけません。
サッカー選手が試合前に身体を動かしてウォームアップしてからボールを使って練習して、そこから試合に向かうようにするようなものです。
いきなり動きが悪いところに負荷をかけ過ぎると逆に痛めてしまう危険がありますので、くれぐれも慎重に行うことをお勧めします。
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