足の裏が痛い、歩くと疲れる原因の『扁平足(ベタ足)』の評価は
扁平足障害(後脛骨筋機能不全)の検査・評価
では、扁平足に関する足の評価について紹介していきます。
内側縦アーチの評価
縦アーチを客観的に評価することは、非常に難しく評価する方法はたくさんありますがまずは、機器を使わないで見た目で評価する方法から紹介していきます。
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内果-舟状骨-中足骨
次の3つの点に印をつけて線で結んだ角度を測ります。
- 内くるぶしの下端(内果)
内くるぶしを触ってその輪郭を確認します。
その一番下に尖っている場所をとります。
- 舟状骨粗面
足の真ん中あたりで1番出っ張っている場所をとります。
- 第1中足骨頭
これは足の親指の付け根のでっぱりです。
『外反母趾』の人が出っ張ってくるところになります。
この3点を結んだ角度をはかることで
- 120°以下→扁平足傾向
- 120°~150°→正常
- 150以上→ハイアーチ(甲高足、凹足)傾向
と評価していきますがこの測り方は、
- 個人の足の大きさ(長さ)を考慮している
- 手軽に測れる(レントゲンなど特別な機器を必要としない)
という利点がある一方
- あまり知られていない(病院では測定方法はとりません。他の測定法をします)
- 3点の触診のため、不正確
などの欠点があることも知っておきましょう。
舟状骨高
(床から舟状骨の高さ)÷足長×100
で出す数値で、足の長さに対するアーチの1番高い舟状骨がどのくらいの高さがあるかという指数を出します。
この測り方は、
- 非常に簡単
舟状骨の触診のみが必要で足の長さは誰でも測れるため誤差が少なく、特別な機器が必要ありません。 - 医学的にもよく知られている測り方
ですが、『扁平足』や『ハイアーチ』などを決める基準がありませんので、その人の最初のアーチの状態を図ってから、処置やトレーニングなどをして改善を見せているかなどの変化を調べる『比較』に向いているものになります。
論文にて、上の計算とは少し異なるのですが、
『足長÷(床から舟状骨の高さ)』 で算出した『Navicular index』において、
- 正常足 3.58~22.6(中央値5.48)
- 扁平足 4.75~31.2(中央値8.98)
- 感度86%、特異度75%
という結果が出ていることが紹介されているものがあり、扁平足の評価に対する基準が確立されつつあるようです。
Roth S, Roth A, Jotanovic Z, Madarevic T : Navicular index for differentiation of flatfoot from normal foot. Int Orthop. 2013 Apr 12.
個人的には、『舟状骨高』で評価しますが、姿勢評価などの一環でまずはざっくり感じをつかみたいときには指をつっこんでみて
「指が2本入れば心配するような状態ではないな」
という見方をしますがあくまでもざっくりでなら・・と参考程度にしておいてください。
次に『専用の機器を使用しての内側縦アーチの評価』について紹介していきます。
フットプリント(foot printer)、足圧計
これは、原理としては『魚拓』と同じで 『足拓』と言ってもいいようなものを 専用の機器を使用して測ります。
その写した足の形をみて土踏まずの部分が
- 写らない
→内側縦アーチがきちんとある - 写っている
→扁平足である
と評価することができます。
最近では、この原理を機械で計測する『足圧計』を使用するのが一般的で床に接している面積を調べつつどのくらい体重がかかっているかという分布をみることもできて非常に有用です。
扁平足の評価としては、ある程度の傾向は読み取れますが、正確な程度などについてはわかりません。
扁平足障害(後脛骨筋機能不全)や内側縦アーチの画像診断
見た目で評価すると
- 仮性扁平足
スポーツ選手などでは、足裏の筋肉が発達していることで見た目の土踏まずがないように見える人もいます - 正確な評価が難しい
人によって足の筋肉量や脂肪量、皮膚の色つやなどが違うため、毎回同じ位置にランドマークをとるのが非常に難しくなります
などの問題点があって、評価にバラつきがでやすくなります。
そこで、不正確になりやすい要素を除いて骨だけをクリアにして評価することで正確性を増すことができるのが『レントゲン』のいいところですが手軽ではありません。
レントゲンを用いた扁平足の評価には
- 横倉法
縦アーチを構成している骨にそれぞれ点をとってその位置から計算する方法です。
点をいくつもとって計算するのが煩雑な点が問題です - 踵骨傾斜角(calcaneal pitch)
扁平足になってくると、踵が床にべちゃっと落ちてきます。
その落ち込みを踵のところで測る方法です。 - 距骨第1中足骨角(Meary角)
距骨と中足骨の位置関係で測る方法です。
などがあります。
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足部のアライメント評価
これまでは、『内側縦アーチ』についてのいろいろな評価をみてきました。
『扁平足(後脛骨筋機能不全)』については、これらで主に評価しますが、処置や治療のためにはこれらの評価だけでは足の状態を把握したとはまだまだ言えません。
そこで、もう少し足の状態を評価するものを紹介していきたいと思います。
トゥーメニートゥーサイン(Too many toes sign)
これは、『扁平足』を直接評価するものではなく扁平足の典型である
『足先が外向いてしまう(前足部 外転)』
状態があるかを評価する方法です。
- まっすぐ自然に立ってもらいます。
- 後ろからふくらはぎや踵に隠れている足先がどれ位見えるか確認します。
少し斜め上からみるとわかりやすいでしょう! - 左右に差があるか、たくさん指が見えていれば『前足部 外転』がみられると言えます。
(この評価方法は、あくまで絶対的な基準があるわけではなく、左右差を比べるかたちになります。扁平足は両足に起こりやすく両足に起こっている場合は評価が難しくります。)
踵のアライメント(leg heel angle)
これは、踵の傾きがどの程度かを知るために計測します。
- ふくらはぎ(下腿)の真ん中を通る線(軸線)
- 踵の真ん中を通る線(軸線)
を引き、その角度を測ります。
一般の人は、5~10°踵が外に向かって角度がつきます(外反)
- 10°以上
→後足部回内=回内足、扁平足になりやすい - 5°以下
→後足部回外=凹足(甲高足、ハイアーチ)
になりやすい とみることができますが実際やってみると、この微妙な計測が難しいので、線を引いてからカメラに写して画面上で角度を測る方法がお勧めです。
角度を測るアプリとかを使うのもいい方法でしょう。
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片足つま先立ちテスト(Single heel rise test)
つま先立ちになったときに後脛骨筋がしっかり働いているかどうかをみるための検査になります。
バランスを診る検査ではありませんので、安全のため不安定であればどこかにつかまって行ってもかまいません。
このとき、通常であれば『後脛骨筋』の働きで踵の底が内側に向いてくるようになります。(踵部 内反)
しかし、『後脛骨筋機能不全』の方であれば
- つま先立ちができない
- 踵の底が外向きのまま上がっていく(踵部 外反)
などがみられます。
「片足でするのは不安がある・・」
という方はまず両足でやってみてできそうだったら片足でされたらいいですし、無理に片足でしなくてもいいので気楽にやってみてください。
おわりに
「昔から扁平足なんです」
「扁平足のせいで足の痛みが出ているんですか?」
と『扁平足』を気にされる方がけっこうたくさんいらっしゃいます。
というのも、『甲高足(ハイアーチ)』より『扁平足(ベタ足)』の方が割合が高くいらっしゃいます。
ご自身の足に関して
- 『扁平足』による問題があるのかどうか
- 『扁平足』だとして程度はどのくらいなのか なのか
をある程度把握しておくことは非常に有益だと考えます。
それを知ってから、自分が今の状態を解決するためにどのような取り組みをしていけばいいのか考えていくほうが何も考えずにとりあえず
「扁平足ってやっぱよくないし、予防しとかないとねぇ~」
なんて軽い考えで始めても1週間続いたらいい方です。
そのため、自分の必要性を知り、それに応じて対策をしっかり講じていくようにするのが良いと思います。
これでみなさんの足への不安やお悩みが解消されるきっかけになりましたら幸いです。
お身体に関するお悩み解消にお役に立てる情報が提供できていますと幸いです。
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