膝が痛いけど原因は半月板損傷?原因や特有の症状を知って正しく治療
半月板損傷かどうかをチェックする徒手検査法
『半月板損傷』であることを診るには『半月板』にストレスがかかる
- 膝関節のねじれ
- 膝関節の圧迫
を作り出して痛みや「ピキッ」と引っかかる音が出たりする(クリック)が出るかなどをみます。順番にその検査方法をみていきましょう。
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マクマレー テスト(McMurray test)
膝を曲げながら膝を捻じっていきますので、膝を傷めている人にとってはある角度で急に激痛が出たり、検査する人が不用意に曲げすぎると「痛いっ!!」と患者さんを必要以上に痛めつけてしまうことがあります。
丁寧に行うように心がけましょう!
- 仰向けに寝ている状態で足を持ちます。
- 膝関節の内側に指をあて、足先を外側に向け(下腿外旋)膝を曲げていきます。
- 次に、膝関節の外側に指をあて、足先を内側に向け(下腿 内旋)膝を曲げていきます。
- 痛みやクリックが生じたら陽性とします。
アプレイ テスト(Apley test)
膝を傷めている人はうつぶせに体位を変えるのも一苦労です。焦らさないで、うつぶせにゆっくり自分のペースでなっていただけるように声掛けしてあげましょう!
- うつぶせに寝た状態で膝を直角に曲げます。
- ふとももが動かないように固定します。
- 足裏から床に向かい体重をかけた状態で足先を外側に向け(下腿 外旋)るようにまわします。
- 次にそのまま足先が内側に向くように(下腿 内旋)まわします
- 痛みやクリックが生じたら陽性とします。
ステインマン テスト(Steinmann test)
この検査に関しては、急速に行うことが必要なため優しくすることはできません。 準備ができたら、一気に勢いよく検査を行いましょう!
- 足が宙に浮くような高さのところ(ベッドや椅子など)に座ってもらいます。
- 足を持ち、内や外に足先を急速に回します。
- 痛みやクリックが生じたら陽性とします。
これらの検査で、痛みが出る動きが
- 外側に足先をまわしたとき(下腿 外旋)
→内側半月板損傷 - 内側に足先をまわしたとき(下腿 内旋)
→外側半月板損傷
とみます。これらは、だれかにやってもらわないといけませんので、自分ひとりだと確認しづらいですね。
そこで、なんとか自分でも確認できる方法を紹介します。
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ワトソン・ジョーンズ テスト(Watson-Jones test)
- 足を投げ出して座ります(長座)
- 膝上のところを上から床に向かって押さえつけます(膝の完全伸展を強制)
- 痛みが生じたら陽性とします。
これらの検査で、痛みが出る動きが
- 外側に痛みがあれば
→外側半月板損傷 - 内側に痛みがあれば
→内側半月板損傷
とみます。次に、一般的な『半月板損傷』を診る検査法としては名が通っていませんが、『半月板』に自分でストレスをかけことができるものを紹介します。
スクワットテスト(squat test)
- 片足を前に出した状態で立ちます。
- 前に出した足の方に踏み込んでいきます。
- このとき、膝を内側(knee-in toe-out)外側(knee-out toe-in)にして行います。
- 痛みが生じたら陽性とします。
このとき、圧迫するストレスが
- 内側(knee-in toe-out)
→外側半月板 - 外側(knee-out toe-in)
→内側半月板
にかかり、それらの損傷を診ることができますが、この動きではよく反対側にも痛みが出ることがあります。
診断するための検査法としては知名度はやや低めですが、実際の治療に関する情報を得るにはこの検査は他の検査よりも優れています。
半月板損傷の画像検査
「膝の内側が痛いんです・・」 と病院に行くと、まずは『レントゲン(X線)』検査がされます。
『レントゲン(X線)』で『半月板』は写りませんので、はっきりとした『半月板』の状態はわかりませんが骨に変形などがないかをまず確認します。
その後『半月板損傷』を疑われる症状などがあった場合には『MRI』撮影をします。
これで、おおよその状態がわかりますが、中には手術される人で
「半月板損傷があるのはMRIでもわかるけど、細かいところは手術で中を直接見ないとわからない」
というようなことを医師から言われる方もいらっしゃいます。
どうしてもそこまでサイズの大きくない『半月板』を断面(スライス)で切っている画像をみるので、きっちり把握すると言っても限界はあるのでしょうね。
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半月板損傷と診断されたらどんな治療をするのか
『半月板損傷』があった場合、手術に至ることもありますが原則はまず手術しないで『保存療法』で経過をみます。
安静
特にスポーツをしている人で『半月板損傷』と診断された場合には、スポーツはいったん中止です。
『治療』の大原則は患部(膝の)安静です。
鎮痛処置
出ている『痛み』に対して『湿布』や『消炎鎮痛薬』の処方を受け、痛みと炎症をおさえます。
注射
関節の保護を目的に『ヒアルロン酸注射』をすることもあります。
理学療法
病院などで行われるリハビリです。
- 電気治療
『痛み』を和らげる目的で、『痛み』のあるところを中心に低周波などを流します。 - 温熱治療
患部を温めることで血流を促進や筋肉の緊張を緩和することが目的になります。 - マッサージ
筋肉の緊張をほぐすことで膝まわりの筋肉の緊張を和らげたり、動きやすくすることが目的です - アイシング
傷めてから間がない場合、膝に熱を持っている場合には患部を冷やします。
半月板損傷の手術療法
『半月板損傷』には、最初に『保存療法』が行われ症状が軽快しないかみていきます。
しかし、
- 保存療法でも症状が改善されない
- 半月板が原因と思われる症状(ギビングウェイ・ロッキング)などで日常生活に支障が強く出てしまう場合
などに対して手術療法が選択されます。
『半月板』の痛み具合や他の組織が一緒に傷んでいないかなど、その方によって
- 半月板をとってしまうのか(切除術)
- 切れている半月板を縫い合わせるのか(縫合術)
になるのか、手術の方法は異なります。半月板切除の場合、本来あるべきものを取ってしまうので、将来『変形性膝関節症』に移行しやすいと問題もあります。
最近は、縫合技術の向上によって、『縫合術』が適応になる例が多くなっています。
全体的にも可能な限り『切除』はしないで『縫合』して温存できるならしようとする時代の流れになっています。
おわりに
「半月板損傷と診断されたけど、特に何もしてもらえない・・」
「このまま放っておいて大丈夫なのだろうか・・」
という不安を抱える方はたくさんいらっしゃるでしょう!
『半月板』は損傷の仕方で、自然に治ることが期待できるものがあります。
病院でたいして処置をしてもらえないというような対応をされているということであれば
『自然経過で治ることが期待できる損傷の仕方だった』
ということでしょう。不安にならず、膝に負担をかけないようにケアしていくことが大切です。
あと、よく言われた経験があるんですが
「膝痛いんだけど、5年前に半月板損傷してるからなぁ~」
と5年も半月板が痛み続けてそれが原因で膝の痛みが続いているっていうのは、ちょっと考えにくいです。
そこまで、『半月板損傷』による症状が続いているって考えにくいですし、自分でやれることもっとあるのではないかと考えます。
ちょっと当てはまる方は
「自分で膝をしっかりいたわって、この痛みなんとかならないものだろうか・・」
と考え方を変えられることをお勧めします。
それによって、変わることもあるのではないでしょうか。
「自分でできるケアをしっかりして少しでも膝を楽にしたい」
という前向きな考えをお持ちいただけた方はこちらの体操を是非実践してみてください!
「膝が痛くてスポーツができない!早く治すためのセルフケア・運動療法」
お身体に関するお悩み解消にお役に立てる情報が提供できていますと幸いです。
「自分の身体について直接相談したい」
「実際に自分にあったエクササイズを指導してほしい」
と思われた方は、こちらで直接診せていただくこともできます。
お問合せお待ちしております
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半月板の形状の説明は逆じゃないですか?oとC
当サイトをご覧いただきそしてご指摘ありがとうございます
おっしゃる通り間違って逆に書いておりました。早速修正させていただいております。
以後このようなミスがないように気をつけたいと思います。
Apley testはクリックが生じても陽性ですか?関節裂隙に手をあてなければならないのではないでしょうか?
当サイトをご覧いただきありがとうございます
クリックのみでは陽性とは考えなくてよいのではないでしょうか。
マクマレーでは関節裂隙への触知をしますが、アプレイでは現実的にその操作をするには人手が要ります。そうなればひとりではできませんし、基本的には圧迫ストレス下での回旋による剪断ストレスをかけることで痛み症状の誘発が目的と考えれば絶対の必要性はないと考えます。
MRIで半月板損傷と診断され、キビングウェイとキャッチングの自覚症状もありますが、現在運動出来るくらいの状態です。このような場合手術は必要でしょうか?
当サイトをご覧いただきありがとうございます
半月板損傷は確定のようですね。今の文面から察するにその診断をされた病院からは具体的な手術の話は出ていないのではないかと思われます。
手術は基本的には半月板損傷が診断され、かつそれが原因による膝の痛みや膝崩れやひっかかりなどが許容できないレベルで起こり、日常生活(スポーツ選手ならスポーツ活動)に支障が出る場合に検討されます。
半月板損傷であってもその程度などによれば自然修復が期待できる場合も十分にあります。
今は、急いで手術をしないといけない状況のようにみてとれません。膝を労わりながら経過観察をすることが妥当なのではないでしょうか
もし不安であれば担当医に今の疑問をぶつけ、しっかり話してよい解決策を導き出してくださればと思います。